役員報酬を上げれば上げるほど、税金だけでなく社会保険料まで止まることなく重くなってしまうのではないか。そんな漠然とした不安を抱えながら、日々の報酬額を決めている経営者は少なくない。給与が増えるたびに天引きの割合も単純に増えていくものだと、なんとなく思い込んでいる人も多いはずだ。
 
脱・税理士の菅原氏は、その思い込みとはまったく逆の現象が起きていると語る。社会保険料は健康保険や子育て関連の負担、厚生年金といった複数の項目によって構成されており、それぞれに一定の水準を超えると負担額が頭打ちになる仕組みがあらかじめ備わっているという。菅原氏の解説によれば、報酬がある水準に達するまでは負担率が着実に上がっていくものの、そこを境に負担額そのものは一定のまま据え置かれ、結果として報酬全体に占める割合はむしろ緩やかに下がっていく局面が生まれるそうだ。税金のように所得が増えるほど税率も青天井で上がり続ける仕組みとは、根本から性質が異なるという指摘はなかなか興味深い。
 
さらに動画内では、月々の給与と賞与のどちらに報酬を寄せるかによって、この上限の効き方が微妙に変わってくる点にも触れられている。給与と賞与とでは上限の基準となる考え方がそれぞれ異なるため、同じ年間報酬額であっても配分の仕方ひとつで年間の負担総額に思いのほか大きな差が生まれる可能性があるという。賞与をまとめて一度に受け取るか、複数回に分けて受け取るかによっても結果にも違いが出てくるとされ、中途半端な水準で報酬を止めてしまうことこそが、かえって一番不利な選択になりかねないという指摘も語られている。この点は、多くの経営者がふだん見落としがちな盲点だと言えそうだ。
 
税金が所得の増加とともに際限なく重くなっていく累進的な性質を持つのに対し、社会保険料はまったく異なる論理で静かに動いている。この違いを正しく理解しているかどうかで、同じ報酬額であっても手取りの差は決して小さくない。動画では、税理士に相談しながら年間の受取額全体を設計していく考え方も紹介されている。自身の報酬設計がいまどのゾーンに位置しているのかを見直したい経営者にとって、新たな視点を得られる内容だ。

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