小さな子どもが、一戸建ての家の二階から落ちる場面から物語は始まる。母親が電話に出ている間にベランダに出てしまい、蝶を追いかけようとして落下したのだ。庭にある橘の木の上に落ちたため、頬に擦り傷がついた以外に怪我はなかった。恵実という名のこの幼児は、命を救ってくれたともいえるこの木に、ゆるく縛り付けられるようにしてその後の人生を送ることになる。