あ、これそういう小説だったのか。長岡弘樹『交番相談員百目鬼巴』(文藝春秋)の収録作を順番に読んでいくと、軽い驚きを覚えるはずである。そう、そういう小説なのである。どういう小説かはここでは書かない。発見の喜びを奪わないようにしたいからだ。主人公の百目鬼巴は、某県警を定年退職し、今は非常勤で交番相談員として働いている。雰囲気の穏やかな六十代の女性だが現役時代は県警幹部も一目置くほどの切れ者だっ