第二次世界大戦の末期、旧日本軍は航空機などで敵戦艦に体当たりする「特別攻撃隊」(特攻隊)を編成した。10〜20代の多くの若い兵士たちが自らの命を絶った。彼らを見送った人たちはどんな思いで戦後を生き続けたのか。宮本雅史さんの著書『「特攻」の聲 隊員と遺族の八十年』(KADOKAWA)から紹介する――。■薄化粧をして隊員の墓参りを続ける私がその女性と初めて会ったのは平成16(2004)年4月22日のことだ。女性は当時84歳。