裁かれたのは、筆舌に尽くし難い冤罪(えんざい)を生んだこの国の司法そのものではなかったか。1966年に静岡県の一家4人が殺害された事件の裁判をやり直す再審公判で、静岡地裁はきのう、死刑が確定した袴田巌さん(88)に無罪判決を言い渡した。一審から一貫して無実を訴えてきた袴田さんの名誉が、ようやく回復されたのだ。しかし釈放されている袴田さんの姿は法廷になかった。48年間にもわたる獄中生活と死刑執行の恐