どういうわけか、赤いスーツの男が前に飛び出る。しかし、よく見ればわかるように、この二枚の絵は、じつは同じもので、人物の色を塗り替えただけだ。どうして、2人が着替えた、とは考えず、移動した、と思うのだろうか。 これは、哲学的に重要な認識錯覚の一種だ。一般には、カントの言うように、我々は、感性形式、つまり、絶対座標となるべき時空間の中で対象を認識しており、同じ場のものが同じものであるとされる。別の場な