党名について真意を語る山本太郎・参議院議員

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 昨年末にお騒がせした小沢一郎さんの「生活の党」との合体。

 党名は、「生活の党と山本太郎となかまたち」

 なめてるのか? と、一部で話題になりましたが、こちらは本気です。

 まず、合流のきっかけ。当時、小沢さんの「生活の党」に所属する国会議員は4人でした。

「政党要件を満たすためにはもう1人必要だ」

 という話の中で、お話が来た訳です。

 政党要件(法律上、政党として認められる条件)を満たしたい理由は何? 一番にたたかれる理由としては、

「政党交付金目当てだろう」という批判でしょう。

 この交付金、自民党は174億円、民主党にも77億円近く支給されています。

 それぞれの議員数だけでなく、得票数にも応じて配分されるものですから、大政党になればなるほど金額は大きくなります。

 政党交付金、そもそもは、「企業・団体献金をやめさせようぜ」という発想から生まれたそうです。

 企業・団体の紐がつくような政治活動をやめさせる。

 でも、政治活動には多額のお金がかかる。

 だから、その部分を税金でまかなおうという話。

 日頃の政治活動は勿論、莫大な選挙費用など政治にはお金が掛かります。

 例えば、先に行われた衆議院、比例選挙のみで全ブロックに候補者を立てるとすると、エントリー費用のみで2億5200万円掛かります。それに事務所費用や宣伝カー、その他の選挙活動費用を合わせるととんでもない金額。

 政党要件を満たさずに立候補するハードルの高さは、異常です。

 はっきり言って、新規参入を潰す方法として、高額な供託金・選挙費用や政党交付金は存在している、と僕は考えます。

 世界を見てみると、政治に挑戦する時に掛かるエントリー費用、入場料は桁違いに安いのです。

 例えば、アメリカ、デンマーク、フランス、ドイツは供託金制度は存在していません。

 フランスは1995年に廃止され、アメリカでは州ごとに異なりますが手数料として、連邦議会の議員歳費(議員の給料)の数パーセントを納める程度。(ネブラスカ州1740ドル、ジョージア州5220ドルなど)

 オーストラリアの上院では1000ドル、下院で2000ドルの供託金。

 カナダの下院で1000ドル、ギリシャの比例代表制では候補者1人あたり146ユーロ程度。

 世界と比べても、日本の政治に挑戦するための入場料(供託金)の高さは異常です。

 なぜこの様な高額な設定になるのか。

 売名行為や、候補者乱立などを防ぐ、などもっともらしい言い訳が用意されていますが、狙いは、「俺たちの縄張りを荒らさせない」と言う意識なのではないでしょうか。

 選挙に掛かる費用が格段に安くなり、新規参入勢力によって、自分たちの権力構造を揺るがす事に繋がりかねないルール変更を大政党は望みません。

 これらの不平等ルールを変更するには、多数派を形成しなければなりません。

 つまり、まずは相手の土俵で、不平等ルールに従い、高額な供託金を用意して、選挙で勝利した多数派が、変える以外に方法はないのが現状。

 今現在、政治に参加する為には、どう逆立ちしても、お金は必要なのです。

 ですから、党になったのは、お金が目当てだろ、と言う批判は一部正解に含まれるでしょう。

 とはいえ、僕が小沢さんと合流する1番のメリットと考えたのは、メディアへの露出の可能性です。

 特にテレビ。

 視聴率1%で約100万人。

 悔しいけれど、これだけ多くの人々に政策を訴えられる、波及力のあるメディアは他にありません。

 じゃあ、そこに出るためにどうすればいいか。

 一番手っ取り早いのは政党に属すること。そして、肩書を持つことです。

 そのためにも共同代表と政策審議会長の2つのポジションを頂いたわけです。

 とはいえ、スポンサーがついている民放はハードルが高い。

 社会問題の多くが民間企業、スポンサーと直結します。

 原発に関してもそうです。

 年間1000億円近くを広告宣伝費と言う名の口止め料でメデイアにバラまいていた電力会社だけでなく、三菱、日立、東芝、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、鹿島建設、大林組、日本生命、明治安田生命などなどが自分たちのハラを痛めずに税金と電気料金から美味しい思いをするのが原発だ、今やエネルギーの問題ではないと発言していた山本太郎ですから。

「スポンサーは神様」の民放からすれば、僕は放送禁止男的扱いです。

 たまにメデイアに登場するのは、何かやらかした時だけ、です。

 その状況を変える為にも、合流は有効と考えました。

 一方で、公共放送のNHKは? スポンサーは企業でなく、受信料を支払っている視聴者の皆さんです。

 民放ではスポンサーの不利益発言をするかも知れない山本太郎は、放送禁止扱いかもしれませんが、NHKが「公共放送」を名乗り、「不偏不党」、「公平」を旗印にしているのですから、公党の代表であり政策審議会長の山本太郎にも出演の機会を他の野党と平等に与える事は当然であり、必然です。

 であれば少なくとも、NHKでの出演は担保できる。そこでの発言が、トリッキーなものでなければ、デッドボール以外も投げられる事が伝われば、民放にまで拡がる可能性があるかもしれない、と考えました。

 特定企業名をあげなくても、問題の指摘はできますし、国会の委員会でも1年半やってきましたから、難しい話ではありません。

 ところが、合流後、当然出演するものと思っていたNHK「日曜討論」に出られなかった。

 そればかりでなく、我が党を含む、政党要件を満たす4党(生活の党と山本太郎となかまたち、日本を元気にする会、新党改革、太陽の党)が除外された。

 政党要件とは、公職選挙法などによると、現役国会議員が5人以上、選挙での全得票数の2%を獲得している、の「いずれか」があれば、政党要件を満たした状態。

 しかし、NHKは独自ルールがあり、政党要件を満たす現役国会議員5人以上&2%の得票、この両方を満たしている政党が出演条件だと。

 我が党を含む4党に対する得票数をざっと計算しても、520万。

 今回のNHKによる4党除外は、520万人への情報提供を怠ったばかりでなく、520万人もの受信料支払者への裏切りである。

 その日曜討論への出席に関してはNHKとバトルもしました。

 与党VS野党、のラウンドテーブルでの議論に出席するのは自民・公明以外では5つの野党のみ、が番組の前提でした。

 僕が言いたいのは、公共放送の理念を忘れていないか、ということなんです。

 我が党だけ出して貰える様になっても意味がないのです。

 520万人が支持した4つの政党を除外して、この国に関わる事を議論したつもりになっては困る、という話なのです。

 それぞれの党に政策の違いがある訳ですから、支持者以外にも、全ての受信者に対して、どの様な考え方があるのか知らせる責務が公共放送にはあるのではないか。

「どうして俺たちを、“ためしてガッテン”に呼ばないのだ」

 と言っているのではありません。

 税金で雇われている国会議員が、この国の未来を議論する公共放送での政治番組において、どの様な考えを持っているのか、視聴者がチェックできる様に、議論の場に立たせなくてはならない、それが出来るのが公共放送であると。

 それを否定するなら、公共放送を名乗る資格、公共放送の存在意義、に繋がる問題ではないか、という事なんです。

 すると彼らは言い方を変えてきた。

「1時間という枠では7人のゲストが限界。でないと議論を深めることはできないでしょう」

 僕も20年以上、芸能界で生きてきましたから、時間内で、どれ位の人数が話を掘り下げる限界か、という話は理解できます。

 だからと言って、与野党の議論において、政党要件を満たす4党が除外されていい理由にはならない。

 時間が問題と言うなら、構成で、幾らでも工夫はできるはず。

 あくまで1視聴者としての提案、と前置きし、2週連続での放送は難しいのか。

 1週目と2週目で野党がシャッフルすれば公平性は保たれ、成立するのではないか? と聞いてみた。

 これは持ち帰って話合うとの事で、翌週答えが帰ってきた。

「忙しい政治家の皆さんに2回連続、日曜日にNHKに来ていただくのは難しい」

 はあ??

 二週連続の企画の為に、毎日曜日にNHK行く必要なんてないでしょ。

 TVで1日2本取りなんて、普通ですよ。

 3本取りも、4本取りもあるでしょ、時によっては。

 僕も震災前は、収入の三分の一はNHKから、って位お世話になってました。

 NHKでも普通に2、3本撮りやってましたよ。

 1本目は生放送、2本目は、徹子の部屋みたいに生放送風、「取りきりで」対応できるでしょ、NHKさん。

 大丈夫。心配しなくても、番組内ではデッドボールすれすれの発言で抑えますから。

 今や安倍政権の御用放送局に成り下がった、との噂もあるNHK。

 NHK上層部の皆さん、優秀で仕事熱心なNHK職員の皆さんが泣いていますよ。

 是非、その汚名を返上する為にも、公共放送の使命を思い出し、520万人が支持する4政党の意見が除外されること無きよう、与野党の議論の場に呼び、ヤギのケンカみたくガチンコの討論をさせて下さい。

著者プロフィール

参議院議員

山本太郎

1974年、兵庫県宝塚市生まれ。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。1991年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。『光の雨』、『GO』で2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で2003年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。2013年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬、666,684票(11.8%)を得て当選。内閣委員会に所属。現在、原発問題、被曝問題、子どもと放射能、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。

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