今季ブレイクが期待できる“No.1推しメン”は日ハム4年目の石川慎吾

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 昨年(2014年)の“No.1ブレイカー”はセが山田哲人(ヤクルト)、パが柳田悠岐(ソフトバンク)だった。ともに144試合フル出場で山田は最多安打、柳田も打撃3位にランクイン。特に柳田はソフトバンク日本一に欠かせない存在だったが、今季、山田や柳田のようにブレイクが期待される若手として、まず挙げられるのが日本ハムの石川慎吾(2011年ドラフト3位)だ。

 高校通算55本塁打の大器は今季、ライトのレギュラー奪取に必死の毎日を送っている。2014年は83打数19安打、打率.229に終わったが、得点圏打率はなんと.391。チャンスに強いところを見せた。5月20日の中日戦ではプロ初本塁打がバックスクリーンへの代打2ラン。初球を狙う勝負強さだった。

「年々選球眼が良くなっており、コースの見極めができるようになったね。スイングスピードが速く、加えて思いきりの良さがある。野球に取り組む姿勢もよく、今季の注目株としてはNo.1だね」(プロ野球選手OB)

 と、球界からも高い評価の声が上がる。足も速く、中田、陽とともに広い札幌ドームの外野を守るのはこの男だ。

 もう一人、素質開花が期待されるのが中日の高橋周平(2011年1位)だ。2012年、18歳でプロ初本塁打を放った大砲だが、その後5・6本と伸び悩んだ。それでも.257とまずまずの打率を残し、長打率も.451を記録している。

 2月のキャンプ中は特守でみっちりしごかれており、今後は打撃練習に打ち込む予定。周囲からは「顔つきが変わってきた」と評されている。

「年々成績を上げている高橋のようなタイプは、使い続けてナンボなんだよね。谷繁監督が我慢して使い続ければ、絶対に成績を伸ばせるはず」と、前出OBは太鼓判を押す。立浪和義が背負った背番号3に変わった今季、周囲の期待の大きさは身に染みているはずだ。

カープ優勝に必要な鈴木誠也、一岡竜司

 広島カープのリードオフマンとして期待されるのが鈴木誠也(2012年2位)だ。昨年は規定打席不足ながら64打数22安打、打率.344をマーク。終盤の5試合は1番に座り19打数9安打とブレイクの予感を漂わせた。シーズン終了後の21 U野球ワールドカップではクリーンナップとして打率.423を残しベストナインに選出されている。

「高橋慶彦や野村謙二郎に代表される通り、広島は伝統的に『1番らしい1番』がチームを牽引する球団だよね。セオリー通りの野球が広島らしさだが、昨年のカープは堂林が1番として53試合に出場、打率.246の1盗塁に終わった。1番タイプじゃない選手を1番に起用していんじゃ勝てない。打率や出塁率を残せる選手として鈴木が頭角を現せば、今季の優勝も夢ではないだろうね」(前出のOB)

 かつて川口和久が日米野球の完封で自信をつけた通り、シーズン終了後の野球で自信をもち、レギュラーへ羽ばたくのもカープの伝統。今季も守りの野球とならざるを得ないため、先取点に関わる切り込み隊長の存在は不可欠。鈴木に懸かる期待は大きい。

 黒田博樹の復帰で、広島は前田健太、野村祐輔、大瀬良大地と先発の駒が揃っただけに“後ろ”の存在も気になるところだが、カープで居場所を確立しそうなのが4年目の一岡竜司(2011年巨人3位)だ。

 昨年、FAで巨人に移籍した大竹寛の人的補償として巨人から移籍、31試合に登板して2勝0敗16H、防御率0.58の成績を残した。目覚ましいのは31イニングを投げて27奪三振と、三振の取れるピッチャーである点だ。

「大竹の補償で一岡を獲得した瞬間、広島のフロントは『よし!』とガッツポーズをしていました。151キロのストレートにフォーク、カットボールなど多彩な変化球を投げる逸材は、大竹と比べてもそん色なく、今年は確実に登板機会が増えるはずです」

 と、広島番のスポーツ紙記者は語る。鈴木と一岡が台頭すれば、カープ女子の感涙も夢ではなさそうだ。

楽天・森雄大はチェンジアップ取得で期待大

 昨年8勝1敗と“プチブレイク”したオリックスの松葉貴大(2012年1位)や、昨年50試合出場で今季正捕手としての期待がかかるロッテの田村龍弘(2012年3位)など、注目株の多い2012年組の中で、忘れてはならないのが楽天の森雄大(2012年1位)だ。

 2勝に終わった昨年を自身も「悔しさしかない」と振り返る通り、開幕から先発ローテーションとして期待されたが、無駄な四球で自滅するパターンが目立った。4勝を挙げた1年後輩の松井裕樹(2013年ドラフト1位)に先を越された形だ。

「森の場合、とにかく課題はコントロール。ボールが先行するからどうしても球数が多くなる。ボール自体は速いんだから、変化球で緩急がつけられれば打者をねじ伏せられる。今はチェンジアップなど球種を増やす努力をしているけど、波に乗ればスイスイいきそうなタイプだけに、今季の初登板に注目したい選手だね」(前出のOB)

 松井とともに「左の二枚看板」となるためにも、今季は1球1球を大事にいきたい投手だ。

(取材・文/後藤豊 Photo by STB-1)