京都の老舗旅館を30億円で購入…終わらぬ中国共産党幹部の不正蓄財
習近平・中国国家主席の「虎も蠅もまとめて叩く」汚職摘発キャンペーンはとどまるところを知らない。特に2014年暮れから今年、中国官僚を震えあがらせたのは胡錦濤・前国家主席の秘書を務めた側近中の側近、令計画(れい・けいかく)・中央共産党中央統一戦線部長を汚職容疑(重大な規律違反)で失脚させたことだろう。
しかし一部の中国通の日本人を、さらに驚愕させたのは、その令夫人の谷麗萍(こく・れいへい)氏の拘束であり、その谷氏が日本に逃亡寸前だったこと。しかも日本に豪邸を所持していたことだった。
昨年末、谷氏は日本に逃亡寸前、中国・青島で拘束された。
当局の調べで日本とシンガポールの銀行に日本円にして約7100億円も不正蓄財。さらに日本円で30億円もの金額で京都の東山区に木造2階建の割烹旅館を購入。改築して所有していたと様々な中国メディアで報道された。
実はこの「日本邸」をめぐり、さらなる噂が飛んでいる。中国事情通が言う。
「交通事故死で亡くなった息子の名義で12年に購入したという話。だが、100年も続いたという割烹の老舗物件。中国人がそう簡単には買えない。どう購入できたのか、そこで噂になっているのが元中国大使館幹部関与説と日本人政治家が絡んでいないのかという二説です」
元幹部説としてこの事情通はこう言う。
「噂になっているのは09年来日、13年夏まで日本の中国大使館にナンバー3として勤務していた湯本淵・元公使参事官。彼は大使館のナンバー3として日本で活躍。その後、中国帰国は中国共産党幹部養成学校に通っていた。
だが昨年5月頃から忽然と姿を消した。携帯や自宅の電話も繋がらなくなって行方不明。その後複数の関係者に事情を聴いたところ、『彼が中国公安当局に身柄を軟禁された。その容疑が日本の公安や国会議員、外務省職員らに中国の機密情報を売り渡したり、中国幹部の不正蓄財に手を貸していた疑いが持たれている』という情報が飛び交ったのです。これだと彼が日本にいた頃、谷氏が京都に豪邸を購入した時機と符号する。しかも彼も共青団中堅幹部。いくらでも日本で谷氏のために働けます。そして、その事が重視され、昨年夏不明になり、その後、令氏の失脚……谷氏拘束とつじつまがあう」
大物政治家が動いた、という情報もそれでは日本政治家説は。
「湯氏の延長で、湯氏は多くの日本政治家と関係が深く、中国の機密をも洩らしたという疑惑も取りざたされている。その湯氏との関係から谷氏豪邸購入に日本の大物政治家が動いたという説です。ま、いろいろ具体的氏名も出ているが、それはひとつの情報なので」
と言葉を濁す中国事情通。
もし、これがドンピシャなら習主席周辺は別な日本スキャンダルも握っていることになる。
田村建雄(たむらたてお)1950年生まれ。地方新聞記者から週刊誌記者に。現在は月刊誌、夕刊紙などに政治、事件記事など寄稿。著書に『ドキュメント外国人犯罪』『中国人毒婦の告白』など多数。