日本人女性が標的に…性犯罪大国インドの恐るべき現状
2012年のデリーの集団強姦事件から、むごたらしいレイプ事件の報道が相次ぐインド。2014年11月には、22歳の日本人女性が5人のインド人から3週間にもわたって監禁・暴行を受けるという事件も発生した。
多くの旅行者を惹きつける東洋の神秘・インド。この国ではいまいったい何が起こっているのか。インドに多数の渡航歴を持つ旅行ライターのA氏にかの国の事情を聞いた。
諸悪の根源はカースト制とインターネット今回の事件のことは、1月4日の朝刊で知った。記事を読んだときの感想は、率直に言って「やはり起こったか」というものだった。
報道によると、被害女性はインド東部のコルカタにあるサダルストリートと呼ばれる安宿街で犯人グループに声をかけられたらしい。サダルストリートは、沢木耕太郎氏の『深夜特急』にも登場する。旅行者だけでなく、片言の日本語を操る詐欺師も大勢集まってくる危険な場所である。
ここ最近は多少マシになったが、数年前まではデリーやコルカタの空港は大変だった。空港の税関を抜けた途端に数十人のニセガイドや悪徳旅行会社の従業員に取り囲まれ、
「どこ行くジャパニ、チケットの手配を俺がしてやる、ついてこい」
「アーグラー（世界遺産のタージマハルがある有名な観光地）はすばらしい場所だ。スペシャルプライスでつれていってやる」
などとまくし立て、怪しい旅行会社に連れ込もうとする。その勢いに押されてついていってしまうと、監禁され、高額のツアーを組まされる。ひどい場合には空港からの移動途中に身ぐるみをはがされたり、そのまま殺されて川に捨てられるといったケースもある。
旅行者が集まる安宿街にも危険は多い。宝石の密輸の片棒を担がせるふりをして、クレジットカードで高額の買い物をさせる宝石詐欺。クズ同然のマリファナを売りつけるドラッグ詐欺。スリや強盗など、犯罪者がウヨウヨしている。被害者の女性もおそらく、そうした犯罪者の魔の手にかかったものと思われる。
さて、インドではなぜレイプ事件が多いのか。
その理由はおそらく、性に対する社会的な制約と、カースト制にあるものと思われる。
インド人の大多数が信仰するヒンディー教では、婚前交渉は認められていない。そうした事情からメディアでも露骨な性表現は規制されており、映画などでもストレートに濡れ場を表現することはない。
しかし、近年になってインターネットが普及したことで、インドの若者も簡単に日本のアダルトビデオや海外のポルノムービーを観ることができるようになった。インド人の中には「日本人や西洋人はフリーセックス」という誤った認識を持つ者が多かったが、AVやポルノでそれが助長されてしまった感がある。
そしてカースト制度である。カーストとはヴァルナという身分制度とジャーティという職業区分を総称したもので、いまでもインド社会では大きな意味を持っている。カーストはヒンズー教の取り決めである。そのため、異教徒の外国人はカースト外の存在ということになる。いわば宗教的な制約を受けることがないため、それこそ「何をしても良い」という発想になってもおかしくはない。
実際、私の知人の中にも、インドでレイプされた日本人女性がいる。
彼女は同じ宿に泊まっていた若い旅行者だった。彼女はインドのことを非常に気に入っており、現地の人と触れ合うことで、さらにこの国のことを知りたいと考えていたらしい。ある晩、彼女はいつもよりおしゃれをして宿を出た。どこにいくのかと聞くと、SNSで知り合ったインド人と夕食を食べにいくのだと言った。
彼女が宿に戻ったのは、翌日の夕方だった。目立った外傷はなかったが、疲れ果てて絶望した表情から、重大なトラブルに巻き込まれたのは明白だった。彼女は一言も口を利かずに宿のシャワールームに直行し、泣きながら30分以上もシャワーを浴び続けた。
落ち着いてから話を聞いた。食事が終わると、男は自分の部屋でもう少し話さないか、と誘ってきた。部屋につくと男は豹変し、無理やり彼女に乱暴をした。そして仲間を呼び出し、夕方、彼女を解放するまで暴行を加え続けたという。
表ざたにはなっていないが、インドでレイプ被害に遭う日本人女性は毎年かなりの数がいるものと思われる。そのほとんどが泣き寝入りである。
女性旅行者、とくにひとり旅をする人にとって、インドは決してやさしい国ではない。インドを旅する際は、万全の注意を払って頂きたいと切に思うのである。
（取材・文／DMMニュース編集部）
