小山サヨナラ打!! 成立学園、投手戦を制し、延長で紅葉川を下す!!

 第一シード・成立学園と都立紅葉川のベスト8をかけた一戦は、延長10回、最後は成立学園がサヨナラで勝利した。試合時間1時間46分。

 成立学園・木寺 凌世。都立紅葉川・藤井憲人。両エースが投打に躍動した。まさに投手戦だった。

 都立紅葉川エース藤井は、常にセットポジションから投球で、ストライクを先行させ打たせて取る投球スタイル。成立学園の早打ちもありスコアボートにゼロを更新する。対する成立学園・木寺も、4回までヒットを打たれない完璧な投球。試合は投手戦のまま中盤を迎えた。

 5回裏、成立学園は2アウトから8番大橋拓水がツーベースヒットで出塁すると、9番木寺がセンター前にタイムリー。待望の1点をあげる。ここまでヒットは出るものの得点まで至らなかった成立学園。待望の先制点をあげた。

 試合の均衡が崩れた時、それは試合が動きだすという事だ。成立学園としては6回はしっかりとゼロに押させたい。一方都立紅葉川はなんとか試合の流れをものにしたい。

 自分のバットで先制した木寺だがその裏ピンチを迎える。2本のヒットと四球で2アウトながら満塁に。ここで打席には石綿竜也。石綿は初球を強振すると、打球は捕手・大橋の頭上に高くあがる。これを大橋はフェンスに激突しながらも捕球しピンチを救った。

 ピンチを切り抜けた成立学園。ここまでの木寺の投球を見ると、これで試合は成立学園ペースで進むと思われた。しかし、そう上手くいかないのも野球である。

 7回表、都立紅葉川はこの回先頭のエース藤井が打席に立つ。藤井は2球目をふりぬくと打球はライトへあがった。背走しておいかけるライト工藤一真。しかし打球は失速せずにそのままスタンドへ。エースの一振りで都立紅葉川が同点においついた。

 その後、両投手の投げあいのまま試合は延長戦へ。9回を投げきり、成立学園・木寺はわずかに1四球。都立紅葉川・藤井は無四球。藤井にいたっては球数も96球と効率良いピッチングを披露。10回表、木寺は都立紅葉川打線を3人わずか9球で終わらせる。

 そし迎えた10回裏。この先頭の大橋がストレートの四球を選んで出塁。これが藤井が出したこの試合初めての四球だ。続く木寺が初球をしっかりと送り、サヨナラの2塁へランナーを進める。

 打席には1番岩成 亮祐。1年生時からクリーンアップで成立学園を背負ってきた天才バッター。この試合は4打数1安打だが最も警戒すべきバッターだ。ここで都立紅葉川ベンチは敬遠を選択。1,2塁とする。

 打席には2番布施大樹。バックスクリーンにむかい深呼吸して気持ちを整える藤井。ベンチに向かい強気の指を指す布施。お互い気持ちと気持ちのぶつかりあいは、初球。布施の打球はレフト前へ。これで満塁となった。

 10回裏。1死満塁。打席には3番小山拳士郎。1点をめぐる攻防。1ボールから打った二球目。打球は、前進守備の1,2塁間を抜けてライト前へ。歓喜の成立学園ナイン。呆然と立ちつくすエース藤井憲人。

2対1。

 テンポの良い投手戦は成立学園に軍配があがった。苦しみながらも都立紅葉川をくだし準々決勝へと駒をすすめた成立学園。2年ぶりの優勝へ、21日に都立足立新田と東京の勝者とベスト4をかけて戦う。

 一方、第一シード相手に互角の戦いをみせた都立紅葉川。近年力をつけている野球部に、負けはしたものの、新しい歴史が刻まれた事は間違いない。

 試合終了の挨拶後、両投手の素晴らしい投げ合いを称えるようにスタンドからは惜しみない拍手が贈られた。

 (文=編集部)