延長10回ツーアウトからの一挙11得点!恐るべき集中打を放った沖縄尚学が3年連続となる決勝へ進出

 延長へ突入した直後の攻撃。それまで僅か5安打と宜野座の先発知念 諄也に抑えられていた沖縄尚学打線だったが、二死二塁から途中出場の久保 柊人がライト前へ運び勝ち越しに成功すると沖縄尚学打線は、まるで日本文理との明治神宮決勝戦のように止まることを知らないまま打者16人を送り一挙11得点を挙げて決勝へ進出した。

秋の準決勝とは違う!宜野座ナインが見せた成長の軌跡

 昨年秋季県大会の準決勝で両者は対戦し、そのときは沖縄尚学が5回コールドで宜野座を下している。山城 大智の前に宜野座のヒットは僅か2本。対して3人の投手で望んだにも関わらず沖縄尚学打線に10安打で10得点を許しての完敗だった。

 あれから9ヶ月と12日後の今日、宜野座は全く違うチームとなって王者の前に立ちはだかった。

 4回、宜野座颯のレフト前ヒットを犠打で進めて城間公希が左中間を割るタイムリー三塁打を放つと、次打者の大嶺稀央がレフト前へ弾き返して三塁走者が生還し2点を先制した。

 だが、沖縄尚学も黙ってはいない。一死二塁から頼れる主将赤嶺 謙が会心の当たりを残すと打球はグングン伸びてセンターの頭を超えるタイムリー三塁打となる。好調を見せスタメン出場となった与那覇 廉の当たりは、先ほどの赤嶺の打球と遜色ない角度で上がりセンター奥まで運ぶ犠飛。三塁から楽々と赤嶺が生還してすかさず同点とした。

決勝を前に収穫の多かったゲーム

スピードこそないものの、低めを丁寧に付いてきていた宜野座・知念は9回まで細心のピッチングを続け、沖縄尚学打線は6回から9回までヒットは渕上 大蔵の1本のみと苦しめられた。

 だが6回からマウンドに上がった大黒柱の山城 大智が、4本のヒットを与えながらも5つの三振を奪うなど要所を締めていく。

 だが9回裏、二死二・三塁とされて一打サヨナラという場面を宜野座が作り出す。埼玉県をはじめとして強豪校が続々と負けるこの夏、まさか明治神宮覇者の沖縄尚学もなのか!?と一瞬過ぎらせるほど緊迫した場面だったが、その緊張感は山城よりも打者の方が多かったのか。中途半端に止めたバットに当たった打球が山城の前に転がると楽々とアウト。それを経ての冒頭に書いた延長10回の猛攻だった。

 沖縄尚学は先制されてもそれに追いつき、最後に繋げたことは決勝を前にしての収穫だったであろう。大会前にケガをしていて、準々決勝から試合に出場している西平 大樹が3安打、久保が4打点、絶好調の小さな巨人・渕上が3安打するなど、やはり選手層の厚みは他校を一歩も二歩もリードしている感がある。

 最後も三者凡退に斬ったことで、明日に繋がるゲームを展開した沖縄尚学。春夏4季連続となる聖地への出場へ、苦しみながらも準備は万端といった終わり方でもあった。

(文=當山 雅通)