犬同士は「尻尾の向き」で相手を判断している

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イタリアの研究チームが、イヌはうれしいときは右に、緊張しているときは左に尻尾を振り、ほかのイヌもそれを手がかりに反応していることを発見した。

イタリアの神経科学者が、イヌに関するある研究論文を『Current Biology』誌に発表した。それによるとイヌは、ほかのイヌの尻尾の「振り方の向き」を認識し、それに反応するという。研究者らはすでに2007年、イヌは、うれしいときには尻尾を右方向によく振り、緊張しているときには左方向に尻尾を振るという研究結果を明らかにしている(以下の動画。飼い主と一緒のときは右方向、あまり知らないイヌに対しては左方向に強く振っていることがわかる)研究者らはこの理由について、うれしいと脳の左側が活性化して、右側に尻尾を振る一方、不安やストレスを感じたときは脳の右側が活性化し、左側に尻尾を振ると考えている。研究チームは今回、イヌがほかのイヌの尻尾の動きの方向を読み取って、それに反応できることを発見した。研究チームは、43匹のイヌに、ほかのイヌを撮影した動画を視聴させ、その間の心拍数を測定したり行動を調べたりした。イヌは、ほかのイヌ(シルエットのみで表情はわからない)が尻尾を右に振っているのを見たときはリラックスしていた。一方、左方向に尻尾が振られているときには、心拍数が上がり、不安げな様子だったという。論文執筆者のひとりであるトレント大学のジョルジオ・ヴァローティガラ教授は、BBCに次のように語っている。「ヒトでは、脳の左側と右側で、ポジティヴな感情やネガティヴな感情を掻き立てる刺激への関わり方が異なることはよく知られている。われわれの研究は、ほかの種でも同様なことが見られるかどうかを探求するものだ」ヴァローティガラ教授は、イヌは相手の尻尾の動きを意識的に「解読」しているわけではなく、体験から反応していると考えている。「ほかのイヌと何度か会ううちに、尻尾が一方向によく振られているときは比較的フレンドリーな態度だと関連付けられ、右側に振られているときにあまりフレンドリーな態度でなければ、その経験に基づいて反応するだろう」※BBCの記事によれば、友好的なイヌに対しては顔を右に向け、攻撃的なイヌに対しては顔を左側に向けるという研究結果もあるという。

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