陸上自衛隊初の心理幹部が明かす“感情との向き合い方”

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 日々、平穏に暮らしていても、怒りたくなることやつらいこと、不安になることは、誰にでもあるだろう。
 そして、そういった怒りや不安などの感情をコントロールすることは難しいものだ。

 『自分のこころのトリセツ』(下園壮太、柳本操/著、日経BP社/刊)では、陸上自衛隊の心理幹部としてメンタルヘルスに16年間関わってきた下園壮太氏が、自衛隊で学び、隊員たちに伝えてきたストレスコントロール、つまり「生々しい感情との向き合い方」のノウハウを紹介する。

 物事がうまくいかなかったり、悩みを抱えていれば、弱音を吐きたくなることもあるはず。しかし、現実社会で弱音を吐くことは、なかなか難しい。実際、弱音ばかり吐く人は周囲の人からうとまれる傾向がある。
 だからこそ、大事なのはバランス。弱音は軽々しく吐くべきではないが、限界まで我慢したり、感情を抑えられない自分を責めたりするのは間違っているのだ。こんなときに有効なのは、仕事を休む、つらい人間環境から距離を置くなど、今ある環境から離れること。それができない場合は、親しい友人に話を聞いてもらう、人に言えないような感情を洗いざらい日記に書く、映画を観て感情に揺さぶりをかける。このようなことをすると、感情を抑えつけようとしていた圧力を緩めることができる。

 失敗は誰もがしてしまうものだ。さらに、終わったはずの出来事をくよくよと考えたり、プレッシャーで再び同じような失敗を繰り返してしまったりすることもある。人間がショックを受けると、本能は「命を守るために、次の対策を立てよ」というメッセージを送ってくる。このとき、その対処に集中できるなら問題はないが、次の失敗を恐れすぎると「また失敗したら、周囲から非難される」という不安が大きくなってしまう。すると本能は、これからやる作業についてではなく、「失敗した後の攻撃から自分の身を守る」ことを優先して考え始めてしまう。その結果、肝心の作業に集中できず、失敗を繰り返す悪循環にはまってしまうのだ。
 では、どのように気持ちを立て直していけばいいのだろうか。何かを行うときに、準備や努力でコントロールできることを「3」とすると、どうにもならないことが占める割合は「7」ぐらい。それほど現実社会は予測不能なことだらけということだ。このような「7対3のバランス」という考えを下園氏は持っている。努力は最善を尽くすが、結果は7対3のバランスで考える。つまり、30点とれれば自分の最低限の責任は果たしたと考えるのだ。このように、自分にバツをつける回数を減らすことが、自信を育てていくコツといえる。

 つらいとき、不安なとき、独りで、我慢してしまったり、無理してしまうこともあるかもしれない。しかし、自分の心を守るためにも、感情をコントロールする方法を知っておくべきでなはいだろうか。
(新刊JP編集部)