「ただの氷」批判も……甲子園名物「かちわり」は、なぜ売れるのか?
気温35度を超える猛暑のなか、甲子園球場には4万人を超える観衆が集まる。プロ野球に負けず劣らず、高校野球も大人気だ。
そんな甲子園観戦に欠かせないのが、「かちわり」だ。20センチほどのポリ袋に、一口強サイズの氷約400グラムが入り、200円。簡単に言ってしまえば、「ただの氷」なのだが、1957(昭和32)年の発売以来、飛ぶように売れ、“甲子園名物”と言われるまでに成長した。
甲子園に行ったことのないファンからすれば、「なんでただの氷に200円も出すの?」と疑問に思う向きもあるだろう。「ビ―ルやジュースを飲めば事足りるはず」という意見もあるはずだ。
だが、ビ―ルやジュースはすぐに飲み干せてしまい、楽しめる時間が圧倒的に短い。そして、少しずつ抑えながら飲むと、あっという間に暑さにやられ、温くなってしまう。
一方、かちわりは氷が溶けるまで待たなければならない。普通であれば、マイナスになりそうなポイントが、夏の甲子園に関してはプラスに転じる。溶けるまでのあいだ、頭に当てたり、首につけたりして体を冷やすことができる。そして、水分への欲求が限界に達しそうなころに、水にかわった「かちわり」をストローで飲むと、美味しさが倍増する。
そう、「かちわり」はビールやジュースと比べ、猛暑の甲子園で「長く持つ」商品なのだ。
ビール600円、チューハイ450円、ジュース250円に比べ、安価な点も見逃せないだろう。「かちわり」を意識してか、凍らせたペットボトルも販売(250円)されているが、酷暑の中では口に甘さが残るジュースより、ストレートな水の方が体には合うのだろう。
甲子園球場を訪れた際は、名物を楽しんでみてはいかがだろうか。
【関連情報】
阪神甲子園球場
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