従来の漫画表現をベースに、デジタルデバイスならでは機能を活かした直観的かつ立体的な表現を取り入れた意欲的なコンテンツとなっている。

原案は久保淳氏、脚本は伊藤和典氏が担当する。

一見するとフルカラーの漫画そのものだが、特徴的なのは漫画をレイヤーと呼ばれる”層”に分け、デバイスを傾けることでレイヤーを個別に動かすことができるという独特の演出だ。

たとえばコマの中の特定のキャラクターや背景だけを左右に動かして楽しむことができるといった具合だ。

また、特定の箇所をタップすると色が変わるなど、ゲームでいうところの”隠し通路”のような遊び心が随所に散りばめられている。

もちろん、そうした演出抜きで純粋に電子コミックとして楽しむこともできる。

藤原氏は本作について「納得のいく形が形が出てこなかった。

電子上でどういうものが表現できるか模索していた」と語り、今後については「次の作品については確約はできませんが……」としながらも、「ハードウェアについては新しいアイデアが出てくると思うので、私たちもそれを生かした面白いアイデアを作っていきたい。

たとえば見開きで本のようになるタブレットなんかがほしい」と新しい表現に意欲を見せていた。

建石氏によれば、今回の2作品はまず日本国内で売れてから海外に広がっていくと予想していたものの、ふたをあけてみれば英語版との同時リリースということもあってか海外からのアクセスが予想以上に多く、大きな反響を得ているという。

また、コミックアニメーションという新しい市場については、短期間でアプリケーションをリリースし、コストを下げてビジネスを成立させていきたいと語った。

押井監督曰く、「業界は保守的だから、新しいことをやろうとするとやめておけと言われる。

でも僕らは新しいことをやっていないとモチベーションが上がらない。

これ(コミックアニメーション)をやってから、また漫画を描いたりアニメを作ったり、行ったり来たりすることが大事なんだと思う」とのことで、コミックアニメーションの今後の可能性に手応えを感じているようだった。

「ちまみれマイ・らぶ」「銀色のうさぎ」は、AppStoreにてダウンロードできる。

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