「映画スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」
10月27日(土)より全国ロードショー

(c)2012 映画スマイルプリキュア!製作委員会

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ニコちゃんは悪よりにしすぎると改心しづらい

――「映画スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」で、みゆきたちを「絵本の世界」へと連れて行く、新キャラクターのニコちゃん。黒田さんにとって、どんなキャラクターなんでしょうか。
黒田 かなり悩みましたね。5歳のみゆきが、途中のページから破れている絵本を拾って、「続きを書いてあげるね!」と約束をする。でも、何度描いても、うまくいかなくて、諦めてしまった。そしていまに至る。ニコちゃんは「絵本の続きを描いてくれなかった」という、みゆきに対しての復讐心を持ちながら、途中で改心していかなくちゃいけない。いろいろ練ったんですけど、どうしても自分で克服しきれないところは、長谷川昌也プロデューサーや、作画監督の小松こずえさん、メインスタッフたちと話し合いました。ニコちゃんだったら、こういう話し方をするかな、こういう心の動きをするかなって。
――かなりバランスがむずかしいキャラクターですよね。
黒田 悪よりにしすぎると改心しづらい。バランスをどうとるかはかなり悩みました。
――いい子にしすぎても、なんで復讐心もってるのって話になってしまう。
黒田 そう。でも、だせたのか、なー? そこはお客さんに判断してもらうということで(笑)。


悪役や、脇役が好きなんです

――いまふと思ったんですけど、「スマイル」には、「プリキュア」シリーズでは恒例だった、イケメンのレギュラーキャラクターっていないですよね。映画にもいない?
黒田 あははは。うーん、かろうじて桃太郎がイケメン枠かなあ。どうしてもイケメンを入れたいということで、(小声で)これは私の要望です(笑)。
――やっぱりイケメンがいないとさみしいですよね。
黒田 そうですよね。子どもたちが憧れるという意味でも、そういうキャラクターがひとりはいたほうがいいかなあって。
――でも襲ってくる。
黒田 ガチで戦いにきますね。
――そこは面白いです。普段は敵であるはずの牛魔王とかが味方になっている。逆転しているんですよね。
黒田 子どもたちは、正義のヒーローである桃太郎たちが活躍したほうがいいのかなと思ったりもしました。でも、私は悪役や、脇役が好きなんです。主人公よりも脇役の心情のほうが面白いことがけっこうある。脇役や悪役ををメインに持ってきて、活躍させてあげたいなと思いました。
――脇役が好きという話で思い出したのが、黒田さんが演出をした「フレッシュプリキュア!」の第45話「4人はプリキュア!クリスマスイブの別れ!!」。ラブたちが母親たちに、自分たちはプリキュアなんだってばらす回。そこで、お母さんたちにフォーカスがいくじゃないですか。「子どもがプリキュアになるなんて想像しないわよ」って言ったら、お父さんが「そりゃそうだよな」と笑う。そしたら「笑うところじゃないでしょ!」って怒られる。ああいうところが、黒田さんらしさなのかなあ。
黒田 ああー、お母さんはきっとこういうだろうなあって。脇役がどういう立ち回りをするかを考えるのは好きなんですよね。


動かしやすいのはキュアサニー

――「スマイル」でお気に入りのキャラクターは誰ですか?
黒田 一番動かしやすいと思っているのが、あかねですね。第2話「燃えろ! 熱血キュアサニーやで!!」で担当したから思い入れがあるのかもしれないですけど、関西弁でノリがよくて、あのメンバーでは真っ先に突っ込んでいきますからね。基本的にツッコミ役不在ですからね。
――貴重なツッコミ要員。「映画 プリキュアオールスターズDX」シリーズの脚本家、村山功さんに聞いたときも、まわりのプリキュアがみんなボケしかいないので、「(「プリキュア5」の)ルージュ姉さんにはお世話になりました」と言っていました。プリキュアでツッコミは珍しいですねほかがみんなボケなので。あ、歴代だったら、誰が好きですか?
黒田 プリキュアだとキュアマリン! ものすごい動かしやすくて。
――夏休みの宿題の回とか、すごく動いてましたよね(第28話「サバーク史上最大の作戦!夏休みの宿題おわりません!!」)。宿題をしていなくて、心の花をしおらせてしまった子どもたちが敵幹部のコブラージャにデザトリアンにされてしまう。コブラージャにそそのかされたデザトリアンが小学校を壊そうとしたときに、マリンがギャグで「出来れば自分の中学校も壊してくれー」って。
黒田 へんな回でしたよね、じゃっかんやりすぎた感があるかな(笑)。あと、好きなキャラクターだと、うーん……、やっぱり「Yes!プリキュア5」のブンビーさんかなあ。
――おお! 敵企業の中間管理職という役が絶妙でしたね。
黒田 悪役なのに、立ち回り方が悪役っぽくない。しかも続編の「Yes!プリキュア5GoGo!」にも出て、2シリーズにわたって出てくるという。でも、ブンビーさんと張るくらい、いまはウルフルンさんがいい(笑)。悪役なのに憎めないキャラクター。
――ウルフルンは人気ですねえ。キャラクターデザインの川村敏江さんがウルフルンの尻尾ストラップとか出してほしいーってツイッターで言ってたなあ。
黒田 あ、そうなんですか! ウルフルンのグッズもすごい出ていますよね。そんな展開してるんだーって。
――ウルフルンならわかる気がしますね、ウルフルンシャツとか、狼でかっこいいし、デザイン的にもおかしくない。ブンビーさんだと、人相の悪い普通のおじさんだから……。
黒田 クリアファイルとかストラップ。悪役のグッズが出るなんていままでないですもんね。


見どころはぜーんぶ!

――好きなアニメはなんでしょうか。
黒田 「セーラームーン」世代なんですけど、出身地自体がほとんどアニメをやっていなくて……。
――どちらですか?
黒田 宮崎です。山奥すぎて、グーグルマップで探しても、ない(笑)。
――えっ、そうなんですか。僕も宮崎なんですよ。テレビが2局しかないんですよね……。
黒田 そう、4局あって、そのうち2局がNHK!
――プリキュアも半年遅れだから、「スマイル」は7月から放送スタートですよ。
黒田 でもおもちゃは既に売ってるから、これなにー? みたいなね(笑)。東京に来たときに、こんなにアニメが豊富にあるんだー! って。高校のときに「攻殻機動隊」を観て、アニメで実写ぽいこともできるんだ、こんな表現の仕方もあるんだと驚きました。そこからアニメの方向を考えるようになりました。
――映画もお好きですか?
黒田 親と一緒に小さいころからよく観てました。映画館なんて近くにないから、ほとんどレンタルビデオ屋ですよ。
――どんな作品を?
黒田 「ターミネーター」とか。あと、「ポリスアカデミー」。SFやギャグが好きでしたねー。
――「攻殻機動隊」もそうですけど、けっこう男っぽいものが好きなんですね。
黒田 ……かなり(笑)。父親の影響かも。メジャーなのしかおいてないから、有名どころを何回も観ていました。
――王道のエンターテインメント性や、気持ちのいいハッピーエンドは「プリキュア」映画の魅力でもありますよね。それに脇役、悪役への愛情がプラスされてるんでしょうか。期待してます。
黒田 期待してください。映画の見どころは、ぜんぶ、ぜーんぶです! ……すみません! 映画ならではの絵本の世界を楽しんでもらいたいです。あと、絶対最後はハッピーエンドにすると決めていましたから、ニコちゃんが最後どうなっていくのかを楽しんで観ていただけたらうれしいかな。
(加藤レイズナ)

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