Kindle PaperwhiteからKindleストア日本語版にアクセスしています。問題なくその場で本が購入できました。ただ、Kindleストアではあまりに簡単に1-Clickで本が買えてしまいますので、本体にロックをかけていないとちょっと不安になるかもしれません。

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10月25日にKindleストアがオープンいたしましたので、早速あらゆる端末でKindleストア日本語版を使ってみました。今回用意したのはKindle Paperwhite、Kindle5、iPhone5とiPadのiOS端末、Android端末、Windows Phone端末です。

なお、Kindle Paperwhiteに関してはこちらを参照していただきたいのですが、前回の記事はあくまで自炊したファイルを使っての感想です。Kindleストアで売られている本を読んで初めてわかったこともありますので、あわせてお読みいただけると幸いです。

■まずはKindleストア日本版の話から

そろそろ出る、もうすぐ出ると噂されていながらなかなか出なかったKindleストアがようやくオープンいたしました。仕組み的にはAmazonのWebページや端末からKindle対応の本を購入すると、アカウントを紐づけた端末でダウンロードすることができ、その端末で読めるというわけです。Webページから購入する時にはどの端末に送るかを指定することができ、指定された端末はインターネットに接続していれば自動的にその本をダウンロードします。

端末側は「端末」のライブラリと「クラウド」のライブラリを持っていて、Kindleストアで購入をすると「クラウド」のライブラリに本が入ります。なので、同じアカウントで複数の端末を持っている場合には、「クラウド」のライブラリからデータをダウンロードすれば読めます。

ダウンロードした本は全て同期ができます。例えば外でiPhoneのKindleアプリで読んだ続きを、家でiPadやKindleで読む、ということが可能になっています。これはちょっと便利ですね。

購入できる本の数はWebページとKindle端末で微妙に数が違うのですが(全体的に端末側の方が数が多いです)、端末の方の数値で言うと1,451,941点(10月25日現在)。もっともこの数には秘密があり、そのうちKindle洋書が1,385,281点になります。従って、日本語で読める本の数は66,660点ということになるかと思われます。

ジャンルで言うと一番多いのは文学・評論で26,270点。次いでコミックが15,319点となっています。小説・文芸は文学・評論の中で最大手で、18,305点ですね。

アメリカのAmazonでKindleを購入している人の場合、Amazon.comのアカウントを持っていることになります。このアカウントと日本のアカウントと結合することができます。ですが、両方のアカウントで商品を買っている場合は結合することができません。アカウントを結合したい場合には、買い物をする前に結合処理をしましょう。結合はAmazon.comの「Manage Your Kindle」ページから行うことができます。最も、同じ本でもAmazon.comの方が洋書が安い場合が多いので、アカウントを無理に結合しないで使い分ける方がお得かもしれません。

ちなみにAmazon.comとAmazon.co.jpで同じメールアドレスで違うパスワードでアカウントを作ったのですが、入力するパスワードでしっかりとそれぞれのアカウントを使い分けることができました。

■まずはKindle Paperwhiteから

さて、おそらく多くの人がどうなっているのかと考えているであろう、Kindle Paperwhiteからいきましょう。前回の記事とは異なり、自炊データではなく購入したデータだとどうなるのかを中心に説明します。

まず、前回に説明に載っているページを開く方向が違うということを書きましたが、これは半分あっていて半分間違えていました。縦書きの書籍を購入した場合、説明の通りのタップでページをめくることができました。

つまり、自炊したデータは横書きの書籍という扱いになっていて、左開き(左綴じ)になっていたのですね。縦書きの書籍はきちんと右開き(右綴じ)になっていました。なので紙の書籍と同じような感覚でページをめくることができます。左側をタップで次のページへ、右側をタップで前のページへ。もしくは左から右へスワイプで次のページへ、右から左へスワイプで前のページへいけます。

文字の大きさは8段階、行間や余白は3段階にわけて設定することができます。Kindle用に電子書籍として作られているので文字の大きさを変えたり行間を変えたりすることができるのですね。従って、新書では二段組みになっていた本も、1段組で表示されました(ルー=ガルー1 忌避すべき狼【完全版】(京極夏彦)で確認しました)。

読んでいる最中に気になるところがあったら長押しをすると辞書がでてきます。日本語はデジタル大辞泉ですね。さらには範囲を指定してハイライトをしたり、メモを追加したり、Wikipediaでその単語を見たり、翻訳機能を使ったりすることができます。さらには、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークにつなげて、ハイライトした文章をシェアしたりすることもできます。

画面の反転は、文字だけの場合は数ページに1回という感じで非常に快適にページをめくることができました。やはり、文字の本を読むのには非常に快適です。

そして今回はコミックも購入してみました。コミックもKindle用に作り込まれているとあって、自炊のデータよりも断然綺麗でした。これならコミックも十分読めます。ひょっとしたらまだ甘いところがあるのかもしれないのですが、自炊データよりも綺麗に読めるという時点で満足しちゃった感があります。ちなみに参考にするために購入したのはなるべく書き込まれたものがいいと思ったので、乙嫁語り1巻(森薫)とヴィンランド・サガ1巻(幸村誠)の2冊になります。

コミックは拡大縮小ができます。ダブルタップをすると、画面の四分割で表示ができます。タップする場所で変わったりもするのですが、スワイプで次のページへとめくっていくと、四分割した画面を

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の順番で移動していく(4までいったら次のページの1へいく)ので、拡大の方法としては及第点ではないでしょうか。もうちょっと倍率を変えられたりすると面白かったとは思いますが、Kindleでそれを行うのは少し煩雑かもしれません。ちなみに拡大モードはもう一度ダブルタップをすると解除されます。

そして肝心のKindleストアですが、もちろんそのままアクセスして購入ができます。購入した本はそのまますぐに端末へダウンロードされます。

ダウンロードした本を端末から削除するには、アイコンを長押しします。端末から削除されると自動的にその本が「クラウド」に表示されるようになります。再び読みたい場合には「クラウド」から本をタップするとダウンロードができ、クラウドからは本が消え、端末に本が現れるという仕組みになっています。容量が少ないKindle Paperwhiteですが、購入した本の大半がこうしてクラウドにあり、読む時にダウンロードして読まなくなったら削除するということをやればうまく使っていけそうです。

おまけの情報として、一度Amazon.co.jpアカウントで購入して本をダウンロードし、Kindleのアカウントの登録解除を行ってAmazon.comのアカウントで登録し直しても、ダウンロードしていた本は読むことができました。アカウント使い分けは問題なくできそうです。

■Kindle5は?

Kindle5は残念ながらAmazon.co.jpのKindleストアに接続することができませんでした。Kindle4を持っている友人がAmazonに問い合わせたところ、Kindleストア日本版に接続できるようになる予定は無いそうです。ということはおそらくKindle5も接続できないでしょう。洋書と自炊データ用端末として使っていくしかなさそうです。

■意外といけるAndroid版

Android版のKindleアプリは基本的にKindle Paperwhiteでできることがほぼできると言ってもいいでしょう。ストアにアクセスできるし、クラウド/端末の関係も同じです。Kindle FireがAndroidを使っているだけに、開発も順調なんだと思います。

タブレット端末ならではの拡大縮小も自在にできますし、読書体験は良好です。Android版は安心して使うことができそうです。

■案外ダメだったiOS版

iPhone5やiPadのKindleアプリを使ってみたのですが、機能的にはAndroid版よりもだいぶ劣ります。

まず、ストアにアクセスして購入することができません。これはおそらくiOSの規約でダメなんだと思います。他の端末やWebで購入し、ダウンロードする、いわばKindleビューアーとして使うことになります。

ところがそのKindleビューアーとしてもちょっと問題がありました。今回その問題が出てきたのはそれゆけ!-宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】1-それゆけ!-宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ(庄司卓)です。この本をiOS版Kindleアプリで表示をすると、だいぶ文字が変な風になります。

具体的には、1ページの中心に1行だけなければならないところが右端に表示されている(センタリングができていない?)、三点リーダー「…」が縦書き用ではなく横書き用で表示されている、というものです。

これはデータがおかしいのかと思い、Kindle PaperwhiteやAndroid版Kindleアプリで表示させてみたところ、全く正常に表示されました。なので、iOS版だけがダメだということになります。この辺はデータをもう一度作り直したりしてくれることを切に望みます。

さらに、アプリの「クラウド」「端末」の部分の挙動が他と違います。他では「クラウド」にある本をダウンロードすると「クラウド」の本が消えて「端末」に移動します。「端末」から削除すると「クラウド」に移動します。ところがiOS版Kindleアプリだと、「端末」にダウンロードをしても「クラウド」に本は残ったままなのです。

何を買ったのかを常に把握できるのはいいのですが、買った本の数が多くなるとちょっと探しにくくなるかもしれないと思いました。せめて並べ替え項目に「新規」というのがあれば良かったのですが……

■おまけ?のWindowsPhone版

祝! Windows8発売! ということで、WindowsPhone版のKindleアプリでも試してみました。

はい、残念ながらKindle5と同じように日本版Kindleストアにアクセスできませんでした。AmazonのKindle無料アプリのページにWindows Phoneの名前が無い時点でうすうすはこうなるんじゃないかと思っていましたが……

個人的にはWindows Phone端末であるIS12Tを、防水であることをいいことにお風呂端末として愛用しているのでとても残念です。

■まとめ

検索が結構しっかりとうごくのはやはり大きいです。また、それぞれの端末やアプリの連携もとてもスムーズに行えます。

すでにiPhoneやiPadやAndroidタブレットを持っている人は、とりあえずKindleアプリをダウンロードして、ストアにアクセスしてみるといいでしょう。どの本も数ページだけ読める無料サンプルをダウンロードすることができます。それで自分のスタイルに合っていると思ったら、購入すればいいわけです。

Kindle Paperwhiteはとてもいい端末です。読書好きなら買っても損はしないでしょう。何せ、暗いところでも本が読めるのですから。

あとはラインナップですね。個人的には現時点でもグイン・サーガが130巻(正伝のみで外伝が無い)があったり、宇宙英雄ローダンシリーズの電子書籍版がラインナップにあったり(でも全体の100分の1ぐらいでしたが)と、今後に期待できる内容にはなっています。あとは新刊が書店に並ぶのと同じタイミングでダウンロード購入できるようになると、電子書籍の決定版と言えるのではないでしょうか。
(杉村 啓)