プラヌラ、ポリプ、ストロビラ、エフィラ……。これ何の生き物?

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8月1日、東京スカイツリータウン・ソラマチにあるすみだ水族館は、小学校3年生から6年生を対象とした特別プログラム「集まれ! キッズ研究員」を開催。

6人のキッズ研究員が白衣に身を包み、クラゲに餌をあげたり、水槽を交換したりと飼育体験を通して、クラゲの生態を学んだ。

「集まれ! キッズ研究員」は、年間パスポート会員限定の特別プログラム。

事前に申し込みのあった中から、抽選で選ばれた男子3名、女子3名の計6名が参加した。

プログラムの開催場所であるアクアラボは、飼育スタッフが働く様子や飼育設備が外から見れるようになっている5つのラボのひとつで、クラゲを育てている。

クラゲといってもさまざまな種類があり、一生の送り方も違うという。

今回研究対象となるミズクラゲは、オスとメスがあり、卵から生まれた楕円形の子クラゲはプラヌラとよばれ、さらにポリプ、ストロビラと姿をかえていく。

ストラビラはお皿を8枚重ねたようなところがあり、そこが1枚ずつ離れて、エフィラに変態。

エフィラはその後、クラゲに形をかえていく。

キッズ研究員はアクアラボにつくと、すみだ水族館の白衣を着用。

研究員としての気分がグッと高まったようだ。

プログラムはまず、ミズクラゲの特徴の説明からスタートした。

瓶に入ったミズクラゲとプリントが配られ、ミズクラゲの体の説明を受ける。

さらに目や胃、触手などを目の前にあるミズクラゲを観察しながらプリントに書き込んでいった。

四葉のクローバーのような形をした胃はすぐにわかるが、カサの端に小さくポツンとある目は、動いているクラゲではわかりにくい。

見つけられない参加者には、ラボのスタッフが丁寧に教えていた。

大人のクラゲを観察したあとは、クラゲの一生について学ぶ。

モニターに映し出された写真や図、さらには顕微鏡で観察しながら卵、プラヌラ、ポリプ、ストラビラ、エフィラの各段階を観察した。

特に生きたプラヌラやポリプ、エフィラを、一人に一台配られた顕微鏡で観察するのは、ほかではなかなかできない経験だという。

なかには顕微鏡を使ったことがない参加者もいたが、使い方を教わると、シャーレの中で動く1ミリにも満たないプラヌラに懸命にピントをあわせ、「いた!」「見えた!」と歓声をあげた。

クラゲに近い形のポリプには、中央に山のように隆起した口がある。

裏返ってしまっていて見にくい場合は、隣の参加者の顕微鏡をのぞかせてもらうなどして、それぞれが理解を深めていった。

休憩をはさんで後半は、クラゲの飼育に挑戦した。

クラゲは泳ぐ力が弱いため、水を対流させないと沈んでしまう。

その一方で、普通のろ過器では吸い上げ口に吸い込まれてしまうそうだ。

そのため、クラゲを飼育するには、専用の水槽で水流をおこし、餌をやり、汚れた水を交換し、水温も適温に保つことが必要。

このプログラムでは毎日スタッフが行っている飼育のうち、餌やりと水の交換を体験した。

クラゲの餌には、ブラインシュリンプという海老の子どもが使われる。

餌にするためには、乾燥させた卵を前の晩から海水につけ、孵化させたのちに、卵の殻とかえった子どもを分ける作業が必要だ。

参加者たちは、上に浮いた卵の殻と、下に沈んだ餌をサイフォン方式で分ける作業を体験した。

サイフォンで分けるには、管に口をつけて途中まで吸わなくてはならない。

それを聞いて「えー!」と驚きの声をあげていたが、1人が見本でやってみると、次々と挑戦。

全員が無事に餌と殻を分けることができた。

自分で準備した餌をスポイトを使ってミズクラゲに与えると、オレンジ色の餌がクラゲの触手につく。

さらに時間がたつと、4つの胃がオレンジ色にかわっていき、餌が胃にたどりつく様子を観察できた。

プログラムの最後は、水槽の水の交換だ。

餌をやると水が汚れるので、新たに水を張った水槽を用意し、そこにクラゲを移す。

参加者がやるのはクラゲになる前の小さなエフィラの水槽だ。

先端を切ったスポイトでエフィラをとらえ、丁寧に移し変えていった。

なかには「毎日これやりたい」という参加者も。

未来の飼育スタッフがこの中から誕生するかもしれない。

すべてのプログラムを終えた参加者たちは、記念の集合写真をとると、満足げにアクアラボをあとにした。

「集まれ! キッズ研究員」プログラムの参加費は無料。

8日(水)、22日(水)、29日(水)にも開催される。

すでに申し込みは終了しているが、このプログラム以外にも、アオウミガメの赤ちゃんの特別展示など、夏休みならではの展示や特別企画も多く用意されている。