【新連載】 「どうせ、あいつは“ゆとり社員”だから」 部下が本当にダメになる“レッテル貼り”の副作用
日本の職場に蔓延する「不快感」
心を枯れさせないメンタル・マネジメント
最近、職場で「不快感」を訴える社員が急増している。
成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、お互いの足を引っ張り合う「ギスギス職場」が生まれていることが、大きな要因の1つと言われている。
一方で、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、「上の世代と違い、自分たちは頑張って働いても将来報われるわけではないだろう」という諦めムードが若手を中心に広まっており、仕事上のつながりよりもプライベートを重視する「割り切り社員」が増えた。
こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。放っておくと、「不快感」は隣の職場、そのまた隣の職場へと拡大していき、場合によっては、モラル低下によるパワハラやフリーライダー(タダ乗り社員)の増加を招く恐れもある。そんなことになれば、会社組織全体が不調をきたし、ビジネスが立ちいかなくなってしまうだろう。
職場から「不快感」を取り除き、活性化させるためにはどうしたらいいのか。多くのマネジャーたちがその処方箋を見つけ出そうと、頭を悩ませている。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を彼らが体系的に理解しておく必要がある。
今、上司に最も求められているのは、厳しいノルマを達成しようと焦り、部下に無理をさせ、心を枯れさせることではない。効果的なメンタル・マネジメントを駆使して、雇用慣習や価値観の多様化した職場をうまくまとめ上げ、チームの潜在能力を最大限引き出すことに他ならないのだ。
この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介すると共に、それを解決するためのメンタル・マネジメントの処方箋を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。
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