吉高由里子も思わず胸キュン!『僕等がいた』で発した生田斗真のセリフとは?
累計1200万部を突破した小畑友紀原作の少女漫画を映画化した『僕等がいた』。北海道の高校に通う矢野と高橋が、互いに愛し合いながらも不条理な運命によって翻弄されていく本作で、ふたりの恋の行方を体現した生田斗真と吉高由里子にインタビュー。思わず胸キュンしてしまったという撮影裏話から、高校、大学、社会人という時の流れをどう役作りしたのかまでを聞いた。
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人気者の男子と同級生の女の子の恋。出会って、喧嘩して、仲直りして、ドキドキして、やきもきする。そんな眩しい日常が描かれる本作だが、他と違うのは、主人公・矢野元晴が置かれている境遇。クラスの3分の2が好きになる矢野を演じた生田斗真は、不器用にも見えるふたりの恋愛をこう語る。「傍から見ていると『何でそっち行っちゃうの?』『どうしてそんなこと言っちゃうの?』ってことだらけで遠回りしているようにも見えるけど、それが矢野と高橋にとっては必要な時間(出来事)だったと思うんです。振り返ってみると、確かに10代の頃って不安定で寄り道だらけの恋愛をしていた。ふたりが抱える痛みや悲しみは、男の僕から見てもリアル。だから共感を呼ぶんじゃないかな」。その言葉に続くように「ふたりの愛は魂でぶつかりあう本能的な愛だから遠慮がない」と語った七美役の吉高由里子は、「だから七美は矢野に惹かれていったんじゃないかな」と続けた。
3月17日に公開された前篇は週末の興収・動員ランキングで共に2位発進! そこには矢野と七美の恋のきらめきがぎゅっと詰まっている。そこで、ふたりに思わず胸キュンしたシーンを問うと、「『好きだバカ!』っていうセリフ! 矢野と高橋が喧嘩別れした日の夜、矢野がこっそりと高橋の家のドアノブにプレゼントを置くという粋なことをするんですけど、それに気づいた高橋が追いかけてきてこのセリフを言うんです。その場にいた男性スタッフ全員、『吉高由里子って可愛いなぁ』って空気になっていました」と生田は明かす。
一方、吉高は「矢野がバス停で『最後にもう1回チューしようか?』」と言う場面を挙げ、「あのシーンを撮影している時は途方にくれちゃいました。だって最後に1回、1回でしょ? 1秒でも20分でも1回は1回だから、この最後の1回をどう締めくくろうかと、考えに耽ってしまいました(笑)」と名シーン誕生秘話を教えてくれた。
そして間を置かず4月21日(土)に公開される後篇では、ふたりの関係にも変化が訪れる。生田曰く「前篇ではキラキラと輝いていた矢野が、後篇では暗い影を落とし、闇に飲み込まれてしまうんです」とのこと。演じる側としては変化がつけやすかった反面、不安もあったという。「全然違うキャラクターになってしまうといけないので、ふとした表情でキラキラしていた矢野の陰りが出せれば良いなあと。あと全篇に渡って気をつけていたのが、矢野の手の表情。原作でもすごく印象的に描かれていたので、教科書をめくる指先や、肘のつきかたで矢野らしさを表現できれば思っていました」。
役作りにおいて「環境が味方してくれた」と明かすのは吉高。「(前篇の舞台となる)釧路で過ごした1ヶ月半は、みんなと同じホテルに泊まって、同じご飯を食べて、帰って、寝て、現場に行っていたのに、(後篇の舞台となる)東京に帰ってきたら、皆さん、抱える事情は色々ありますから、自然と距離が生まれて。共演者やスタッフさんと会わない時間の方が長くなるから、自然と懐かしさが込み上げてくるんですよ。だから、自然と七美が感じた気持ちを感じることができました。今回、七美が成長していく過程には必ず矢野がいるんです。生ぬるい風に当たると、この風を知っているような懐かしい感じがするんですけど、そういう不意なタイミングで矢野のことを思い出すような。思い出すまでいかないぐらい矢野のことを覚えているような感じ。矢野の存在を感じながら、七美は成長していったと、そんなふうに感じながら演じていました」。
過去の恋愛や迷った時の記憶とリンクするかのような壮大な純愛回想録に仕上がった『僕等がいた』でメガホンを取った三木孝浩監督は、「上映形態にもこだわった」と明かす。「連続上映という形態は邦画では初の試みなんですけど、前篇が観客の記憶の中で温かいうちに、後篇を公開することで、ふたりの思い出を観客にも追体験してもらいたかったんです」。これには生田も「この試みが映画界を盛り上げるきっかけになれたら」と続ける。
最後に生田が「映画を見終わった時に、学生時代に好きだった人のこととか、思い出したくないような恥ずかしいこともあったなあって懐かしい気持ちになる映画。それも意外と悪いもんじゃないなって。男のリアルも集約された作品になっているので、是非見てください」と締めくくった。これをきっかけに大切な人を誘ってみるのも悪くない。【取材・文/大西愛】