糖尿病専門医に聞く。バイキングで太りにくい食べ方のコツ
好きなものを好きなだけ食べられるバイキングスタイルの食事に、つい「ダイエット」という文字を忘れて食べ過ぎ、家に帰ってから後悔……、という経験はありませんか。
そこで、バイキングを上手に楽しむコツについて、糖尿病専門医で大阪府内科医会会長の福田正博(ふくだ・まさひろ)先生にお話を伺いました。
■多種類を少量セレクトして楽しむべし
バイキングで太りにくい食べ方の秘けつについて、福田先生はこう言います。
「バイキングに行く目的をつくることがポイントです。
思いっきり食べたい、大好きな肉を10皿食べるぞ、料金のもとをしっかりとるぞ! などという目的ではなく、食事の内容や空間、時間を楽しもうという目的を立てましょう」
ここで、福田先生が指摘する「太りにくい食べ方・6カ条」をご紹介します。
(1)楽しく話しながら、よくかんで食べる
顎(あご)をしっかり動かすことを意識し、時間をかけてよくかむ。すると、脳が活性化して満腹中枢を刺激するホルモンが脳内に出ます。がつがつと料理のお皿だけを見るのではなく、家族や友人らと会話しながら食べましょう。
(2)早食い、がつがつ食い禁止
脳に「もう満腹です」と感じさせるホルモンは、分泌されるまでに20〜30分の時間がかかります。それが出てこないうちに早食いすると満腹感が得られず、いくらでも食べてしまうことになります。飲み物で、食事を胃に流し込むことのないよう、水・お茶を準備して、ゆっくり飲みましょう。もちろん食事中に甘いジュース類はいけません!
(3)一口か二口で食べられる量を盛りつけて、多種類を食べる
「おいしそう〜」と、目についた料理を片っ端から盛り付けると、油ものばかり、など、食べたい料理だけに偏りがちになります。一口か二口で食べ切れる量を目安に、野菜、魚介、肉、卵、ごはんやパンなど多種類を、彩りよく、少しずつ取り分けましょう。
(4)盛り付けた料理を、目で確認してから食べる
食べた量を把握するためにも、食べたい料理を1枚のお皿に盛りつけます。そして、これから食べる量と食品を目で確認してから食べ始めましょう。
この、「目で確認する」という作業は、脳に過食を予防する働きかけの意味もあります。野菜、きのこ、海藻類がお皿の3分の1から半分を占めるとカロリーが控えられています。
(5)野菜、きのこなどの食物せんいから先に食べる
最初に野菜や海藻類、こんにゃく、きのこなど食物せんいが多く含まれる料理を食べ、その後、肉や魚などのタンパク質、次にごはんやパン、めん類などの炭水化物を食べるようにします。すると、腸からの糖質や脂質をゆっくりと消化・吸収することができて、食後に上がる血糖値(血液中の糖分の濃度)を抑えることにもつながります。
(6)スイーツには、果実やゼリー、シャーベットを選ぶ
洋菓子は脂肪でカロリーが高く、和菓子は糖質が多く含まれます。果実や比較的カロリーの低いゼリー、シャーベットを中心にし、ケーキ類やパイ、アイスクリームなどの高カロリーデザートを控えるようにします。どうしてもお菓子が食べたいときは、比較的カロリーが低めのシフォンケーキや小さめの和系スイーツを選びましょう。
最後に福田先生は、こうも付け加えます。
「満腹になってもまだ大量の料理が視界に入ってくるバイキングでは、食欲のコントロールは難しいものです。太りたくない人は、バイキングには近づかないことが一番です。ホテルの料飲部の方に聞くと、実は、サラダなど野菜のコストは結構かかっているとのことでした。バイキングでもとをとろうと思ったら野菜メニューをしっかり食べればOKですよ(笑)」
これからは、目の前に多くの料理が広がるバイキングだからこそ、がつがつ食い付かないで少量ずついろいろな種類を楽しむようにします。
監修:福田正博氏。
糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医学博士。ふくだ内科クリニック院長。名医として数々のメディアで紹介され、著書に『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(アスキー新書 780円)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書 756円)、また、最新刊の『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス 1,365円)は、糖尿病患者だけではなく、ヘルシーダイエットとして有効な、「食べ方」、「ウォーキング」、「腹やせ」の実践法が分かりやすく述べられている。
(岩田なつき/ユンブル)