その場合には、時には動かない事も必要で、また、相手の前ではなく横や後方、そこの位置に立っている、という事も必要であり、相手に競り掛けに行かないから守備をしていない、守備をサボっている、という事ではない訳ですね。もっと極端に限定的に言ってしまえば、危険なところへパスを出せないだけで良い。危険にはならない場所へのパスというのは、やらせておけば良い。それすらやらせまいと一生懸命守備をする必要はない。という事ですね。

そしてこれは、攻撃の時でも同じで、動き回れば良いというものでもない。フリーになっているなら動く必要は無いし、スプリントしなくても、トロット(並足と速足との中間の歩調)でもフリーになれるなら、その程度の動く速度でも良い。それでは無理な時だけ、それではフリーになれない時だけ、スプリントすれば良い。レアンドロ・ドミンゲスの動きなども、そうですよね。

要するに、運動量というのは必要ですが、ポジショニングの悪さを運動量で補おうとしてはいけない。それには限界がある。もしくは、それだと守備にパワーを使い過ぎて攻撃にパワーを残せなかったり、もしくはプレーの最後のところでパワー切れを起こしてしまって、最後のところで精度を欠いたりバランスを崩したりしてしまう。サントスやバルセロナの選手には、そういう選手はあまりいませんよね。

結果だけではなく、南米や欧州のトップクラスの選手のプレーを観て何を学ぶのか。それが日本にとっては、CWCという大会の価値だと思います。運動量至上主義の方向性を是正して、もう少しポジショニングという事に重きを置く事。プレスの掛け方の効率化。効果という事への追求。そして、走る、動く、という事に対する概念の見直し。それが日本のサッカーに求められてきているように思います。