「特撮映像館」、今回は異色のアニメ実写作品を取り上げます。原作アニメとは別ものとして観ればなかなかの出来だったのですが…。

タツノコプロのテレビアニメーション『新造人間キャシャーン』の実写映画化作品。とはいえ「新造人間」という言葉やキャラクターの名前のほかは共通点がないといってしまってもいいだろう。個人的に最大の問題は主人公キャシャーンにヘルメットをかぶせなかったことだと思っている。これによってキャラクターのイメージはまったく違ってしまった。

監督の紀里谷和明は音楽のPVなどを手がける映像作家でもあり、本作でもPVで見られるような映像が散見できる。CGによるイメージの合成やモノクロ映像、フィルムのような時代を感じさせる映像などの挿入はPVでよく見られるものと言っていいだろう。また全体を通して紀里谷和明オリジナルのイメージというより、どこかで見たようなイメージのコラージュという印象がある。冒頭の未来のようで過去のような都市の映像は『メトロポリス』的であり、新造人間が誕生してくるあたりの映像は『エヴァンゲリオン』を思い出す。
ハッキリ言ってなぜ「キャシャーン」だったのかわからない。
とはいえ失敗作だったとは言わない。これはこれで面白かったからだ。「キャシャーン」とは別ものの作品としてみればなかなかよくできた作品だったといってもいいだろう。もっともラストに関してはイメージ優先でなにがいいたいのか伝わっていない気もするのだけれど。

オープニングのナレーションはテレビアニメでもナレーションを担当した納屋悟朗。テレビシリーズで印象的だったあのセリフが聞けなかったのは残念だが、これもファンサービスのひとつか。

アクション監督(諸鍛冶裕太)やCG監督(野崎宏二)を置いているが撮影監督も紀里谷和明自身が担当し、映像的なイメージの構築をしている。バトルシーンではコンテを樋口真嗣が担当している。

エンディングは当時結婚していた宇多田ヒカルが担当。これによって宇多田のPVだとも評された。
 
監督/紀里谷和明
キャスト/伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾 聡、樋口加南子、唐沢寿明、及川光博、ほか。
2004年/141分/日本

■ライター紹介
【猫目ユウ】

フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。


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