内閣再改造が終わり、新聞・テレビなど報道機関は相次いで内閣支持率の動向について世論調査を実施した。

 それによると、おおむね内閣支持率は数ポイント上昇し、30%前後の数字となった。

 内閣改造は、政権浮揚の最強カードといわれ、10%以上の上昇は常識なので、菅直人首相にとってはかなりもの足りないものであっただろう。

 特に、与謝野馨経財相の人事には、首相の大きな誤算があったのではないか。アクセルを踏んだつもりがブレーキだったという感じがする。

 共同通信の調査では、与謝野氏起用に期待する人は44.9%、期待しない人は48.2%。他の調査も同様の厳しい評価となっている。

 既に自民党内からは与謝野氏に対する問責決議案の提出までささやかれ、通常国会は冒頭から“与謝野問題”が審議の新しい障害になりそうだ。

 おそらく与謝野氏は、財政規律派のリーダーとして、強い使命感を抱いて着任したのであろう。自分の年齢や体調なども考えての上なのかもしれない。

 彼の政策姿勢は全くブレてはいない。しかし彼を起用した首相は180度ブレてしまっている。与謝野氏は、選挙でも一貫して同じ主張をし、自民党内でもその方向で努力してきた。しかし、首相側は、選挙でもマニフェストでも与謝野氏と同じ主張をしてきたわけではない。もっぱら税金のムダ使い排除を唱え、菅政権発足後それを棚に上げてしまったのだ。

 今回の与謝野氏の行動は理解しようとすれば理解できるかもしれないが、世論の見方はいささか違っている。いかに政策的にブレていないとしても、政治的なブレがあまりに大きくて許容範囲を越えている印象だ。

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