30日に日本に到着した中国の温家宝首相は、同日夜に行われた歓迎夕食会で、「われわれは、いつまでも日本を恨み続けることは、絶対にしない」と述べた。来日前に日本映画の『ALWAYS三丁目の夕日』と『おくりびと』を鑑賞し、感銘を受けたことにも触れた。

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 30日に日本に到着した中国の温家宝首相は、同日夜に行われた歓迎夕食会で、「われわれは、いつまでも日本を恨み続けることは、絶対にしない」と述べた。来日前に日本映画の『ALWAYS三丁目の夕日』と『おくりびと』を鑑賞し、感銘を受けたことにも触れた。チャイナネットが報じた。

 温首相は30日の夕食会で、日本との友好と相互理解を求める「心情」を強調した。スピーチには原稿を用いず、「心を込めて話した方が、受け入れてもらえる」などと説明。歴史問題については「触れることを恐れてはならない。客観的に存在したことだからだ」と話す一方で、「日本の少数の軍国主義者が起こしたもので、日本の人民も被害者だった」、「いつまでも日本を恨み続けることは、絶対にしない」などと述べた。

 来日前に日本映画の『ALWAYS三丁目の夕日』と『おくりびと』を鑑賞したことにも触れた。『三丁目の夕日』は「1950年代の、日本の普通の人々が描写されていた」として、日本への理解を深めたと説明。『おくりびと』では「倫理道徳と東洋の文化的背景をみてとれた」、「極めて興味深く、最後まで見た」などと、感銘を受けたことを明らかにした。

 写真は同日、松山バレエ団の清水哲太郎総代表・バレリーナの森下洋子夫妻に、日中関係への貢献を感謝する表彰状を手渡す温家宝首相。

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◆解説◆ 胡錦濤・温家宝政権は2003年の発足当初、◆日本との歴史的問題は決着済み。責任追及はもはや不要◆日本を「普通の先進国」とみなしてつきあう◆日本の軍国主義復活はありえない◆中国は古い対日観を捨てるべき――などを骨子とする「対日新思考外交」を念頭においてたとされる。

 しかし、同政権は小泉首相(当時)が両国の外交当局の「“合意事項”になかった日」に靖国神社参拝を行ったことなどで、国内保守派の突き上げを受け、相当な窮地に立たされた。そのため、小泉首相在任当時は日中関係の修復が不可能になった。その後、胡・温政権は改めて「対日接近」に舵を取った。日中間には懸案事項も多く出たが、中国は極端な日本批判を避けつづけている。

 中国紙「環球時報」が2009年12月に行ったアンケート調査では、15−20歳の年齢層で、「一番好きな国はどこですか」との問いに対して「日本」と答えた人が12.3%で、国別で最多だった。(編集担当:如月隼人)



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