フランスのプロリーグに所属するクラブで争われるトーナメント戦、リーグ杯。その決勝が29日、パリ・サンジェルマン(PSG)とランスの対戦で行われ、PSGがロスタイムにペナルティー・キックを得て、ランスを2−1で下し優勝した。

 先制点を許したものの、後半に追いつき、勢いでは勝っていたランス。それだけに、ジャン=ピエール・パパン監督は試合後、「悔しさで胸がいっぱい」(レキップ紙)と残酷な幕切れを振り返った。

 ペナルティーの判定も微妙だったが、ランスにとって納得がいかないのは、その直前のプレー。ランスのドゥモンが右サイドからクロスバーすれすれに放った強烈なシュートに、PSGのGKランドローが辛うじてタッチして逃れた場面だ。ランスはコーナーキックから攻撃を続けるはずだった。しかし、主審の判定はゴールキック。ランドローからのパスが中盤を通じてFWのリュインデュラに渡り、ペナルティーエリアまで持ち込んだリュインデュラが相手ディフェンスのイウトンに倒された。

 ランスのマルテル会長は「フットボール365」に「デュアメル主審の過ちは3つ。まずはコーナーキックを与えなかったこと。続いてパスを受けたリュインデュラはオフサイドだった。そして実際にはなかったペナルティーエリアでのファウル。考えられないミス・ジャッジだ」と怒りをあらわにしている。

 パパン監督はもっと激しい言葉で怒りを表した。試合終了直後、中継したフランス3局のマイクに「最悪の気分。自分にとっては、泥棒にあったようなもの。スキャンダルだ」とデュアメル主審を痛烈に批判した。

 さらにパパン監督の憤りはPSGの一部サポーターが掲げた横断幕にも及ぶ。横断幕には「小児性犯罪者、失業者、近親交配のふるさと、シュティの地へようこそ」と書かれていた。“シュティ”とは、フランス北部ピカルディー地方の人々に対する俗称で、最近、同地の人々を風刺したコメディ『シュティの地へようこそ』という映画が公開されたばかり。パパン監督は、この横断幕を掲げたサポーターとPSGに対し、リーグから処分が下ることを望むと語った。

 リーグではパリとともに降格の危機に立つランス。すぐに気持ちを切り替えて残り8試合に臨まなければならない。「今回の不公平で味わった悔しさをバネに、我々はもっと強くなってピンチを脱出する」というパパン監督の言葉がチーム全体の意気込みを代表している。