今から13年近く前にインテルのオーナー職に就いて以来、つねにユベントスは目の上のタンコブだった。モラッティ現会長は、その関係が劇的に変わった昨年の夏のことを鮮明に記憶している。
「(審判操作スキャンダルの後)苦しむユベントスから、イブラヒモビッチとビエラを適正金額で買ったとき、彼らは私に感謝すらしたものだ」

 日曜の「イタリア・ダービー」に向けて、周囲のテンションは上がりっぱなしだ。同会長は「最終戦でもあるまいし、今度のイタリア・ダービーは“マッチ・オブ・ザ・イヤー”たりえない」と平静を装っているが、内心は2季ぶりにまみえるライバルの泣きっ面が見たくてたまらないはずだ。

「ユベントス・ファンの恨みもよく理解している。長年、生贄にしてきた相手と立場が入れ替わったわけだから。だが、間違えてはいけない。過去10年間犠牲となってきたのはインテルの方だったのだよ」

 モラッティがインテルのトップになってから、ユベントスとは28試合を戦ってきた(セリエA、イタリア杯、伊スーパー杯)。戦績はインテルの6勝11敗11分。29回目の決戦に、最も熱いサポーターであり会長でもあるモラッティの心は躍る。