マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督は、マルティン・ヨルの解任に踏み切ったトッテナムを厳しく批判。マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルの長期政権を見習うべきだと語った。

 過去2シーズン連続でトッテナムを5位に導いたヨルは、プレミア4強の牙城を崩すべく大型補強を敢行して今シーズンに挑んだ。しかし、リーグ戦10試合が経過した時点で獲得した勝点はわずか7で、順位も18位に沈む不調ぶり。シーズン当初から解任の噂がつきまとっていたヨルは、25日に行なわれたUEFAカップのヘタフェ戦に敗れたのをきっかけに、低迷の責任を負って退団した。

 しかし、プレミア最年長監督のファーガソンは、元セビージャのファンデ・ラモス監督を招聘したトッテナムに対し、「監督解任が必ずしも成功に繋がるとは限らない」とコメント。自身のアシスタント・コーチとしてヨルに白羽の矢を立てたこともある老将は、「もう少し時間を与えるべきだった」とトッテナムの決断が時期尚早であったとの見方を示した。

「これまでにも口を酸っぱくして言ってきたが、監督をクビにしたからといってクラブに成功が約束されるわけではない。最近では、どうもすべての決断が早まっている気がする。しかし、アーセン・ベンゲルはアーセナルの監督を10年以上務めているし、私は今年で22年目だ。そして、この両クラブが結果を出しているのは偶然ではない。マルティンは素晴らしい才能を持った監督だ。誠実な態度で監督の仕事に取り組んでいたが、今回の解任で彼自身もようやく解放されたような気分を味わっているのではないだろうか。私は事の顛末をすべて知っているわけではないが、シーズン当初からトッテナムがセビージャの監督と会っているという噂が飛びかっていたからね」

 マンUでの監督生活も今シーズンで22年目を迎えるファーガソン。前人未到の長期政権を築き上げた老将は、拙速な決断を下す傾向にあるフットボール界に危機感を募らせているようだ。