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『未知との遭遇』から約半世紀。スティーヴン・スピルバーグは、なぜ今ふたたび“未知との遭遇”を描いたのか。

最新作『ディスクロージャー・デイ』でスピルバーグが主演に迎えたのは、エミリー・ブラント。初タッグとなった二人は、人類がまだ知らない存在をめぐる壮大な物語を通して、恐怖や驚きだけではない、あるメッセージをスクリーンに託した。

THE RIVERは、スピルバーグとブラントに単独インタビューを実施。地球外生命体の存在をめぐるスピルバーグ自身の考えから、ブラントが挑んだ難度の高い演技、その演技を「映画の成功の75%」と称えたスピルバーグの言葉、クリストファー・ノーランやジョン・クラシンスキーとの仕事に共通するもの、そして映画が人々をひとつにする力についてまで、じっくりと話を聞いた。

「これだけたくさんの作品を世の中に送り出してきたのに、まだ私の前には姿を見せてくれない!」宇宙人にいまだ会えていないことを冗談交じりに嘆くスピルバーグに、ブラントも笑いながら加勢する。映画づくりへの真摯な言葉と、二人のユーモラスな掛け合いが入り混じった貴重な対話を、たっぷりお届けする。

© Universal Studios. All Rights Reserved. 映画『ディスクロージャー・デイ』スティーヴン・スピルバーグ&エミリー・ブラント 単独インタビュー

──まず映画ファンとして、お二人とお話しできることを本当に光栄に思います。お時間をいただきありがとうございます。

スティーヴン・スピルバーグ: もちろんです。

エミリー・ブラント:こちらこそ!

──スティーヴン、あなたは以前、地球外生命体の存在を信じている、なぜなら今ではあまりにも多くの証拠があるからだと話していました。一方、『未知との遭遇』を作った頃は、物語はあくまで推測に基づくものだったともおっしゃっています。この50年で、地球外生命体に対する考え方はどのように変化しましたか?

スピルバーグ: 私がこのテーマに強い関心を持ち続けてきたことは明らかですよね。地球外生命体がこの惑星を訪れるという物語を、これまで本当にたくさん扱ってきました。最もよく知られているのはもちろん『E.T.』でしょうし、『未知との遭遇』もあります。『メン・イン・ブラック』シリーズもそうです。

それから『宇宙戦争』もあります。あれは、地球外生命体との遭遇のネガティブな側面という、私自身起こってほしくないと思っていることを描いた作品でした。あれは純粋なSFです。

そして現在の『ディスクロージャー・デイ』に至ります。この作品も私にとっては依然としてSFです。私たちが物語を書いたものであって、実在する人物や、最近実際に起きた出来事をもとにしているわけではありません。

ただ、この映画が扱っている主題、つまり非人間知性の存在を証明しうる情報が世界のどこかに存在しているということについては、私は非常に真剣に捉えています。なぜなら、それが事実だと裏付けるような証拠が、この世界には存在していると私自身は信じているからです。

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──面白いですね。ありがとうございます。私がこの映画で好きなのは、観客が自分なりに考えられる余地を残しているところです。ただ、今の観客はひとつの「正しい解釈」を求める傾向もあるように思います。50年前と比べて、物語に曖昧さを残すことは難しくなったと思いますか? あるいは、むしろ今のほうが重要なのでしょうか?

スピルバーグ: 私は『ディスクロージャー・デイ』の結末が曖昧だとはまったく思っていません。とても明確なメッセージを発していると思っています。

そのメッセージを「警告」ではなく「共感」のメッセージとして受け取ってもらえれば、物語としてきちんと完結している。一方で、もう一本『ディスクロージャー・デイ』を作るための扉も開けてありますけどね。

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──エミリー、マーガレットが突然、ロシア語や韓国語など異なる言語を話し始める場面には驚かされました。セリフは意味を理解しながら覚えたのでしょうか。それとも、まず音として身体に入れていったのでしょうか?

ブラント: 両方ですね。自分が何を言っているのかは理解しておく必要がありました。脚本家のデヴィッド・コープが英語で書いたセリフを翻訳してもらったので、おかげでマーガレットが何を話しているのかは理解していました。

そのうえで、発音として覚えていきました。ダジャレになっちゃうんですが、私にとっては本当に“エイリアン(alien=未知)”の言語だったんです。一度も話したことがありませんでしたから。

だから、自分にとって完全に馴染んだ言葉に聞こえるようになるまで時間をかけましたし、観客にとっても会話として自然に聞こえなくてはいけませんでした。

スティーヴンと話したときに、「彼女自身は英語を話しているつもりなんだ」と言われたんです。だから、今こうして私があなたに話しているのと同じくらい流暢に聞こえなくてはいけない。何かを“披露している”ように話すのではなく、ただ相手に伝えようとしているだけなんです。

本当に身につくまで数週間かかりました。徐々に速く言えるようにもなりましたし、そこからいろいろな感情を乗せて練習しました。

言語コーチには、怒っているように言ってもらったり、苛立ちながら言ってもらったり、誰かを安心させようと優しく言ってもらったりしました。言ってみれば、私のためにそのセリフを“演じて”もらったんです。そうすることで、言葉に鼓動を持たせたかったんです。

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──素晴らしいですね。スティーヴン、あなたはこれまで自分自身ではUFOを見たことがないと話しています。これだけ地球外生命体についての映画を作ってきたのに、まだ姿を見せてくれないことに、もどかしさはありますか? 少なくとも一度くらいはあなたのところに来て、「ありがとう」と言うべきだと思うんですが(笑)。

ブラント: そうですよ!本当にそう思う!(笑)

スピルバーグ: ありがとう、ありがとうエミリー!(笑)

いやー、本当にそうなんですよ。私は地球外生命体や宇宙の謎について、これまで映画や物語を作ってきて、それによって本当に多くのものを受け取ってきました。

ただ、その一方で……そうですね。これだけたくさんの作品を世の中に送り出してきたのに、まだ私の前には姿を見せてくれない!さすがにちょっと悔しいですよ(笑)。

もしかすると、何か理由があるのかもしれません。もし彼らが私の前に姿を現してしまったら、私がもう満足しちゃって、映画を作らなくなってしまうと思っているのかもしれない。だから、私にこれからも彼らの物語を語り続けさせるために、少し駆け引きをしているのかもしれませんね。もっとも、私としては喜んで作り続けますけどね!

──では、お二人に質問です。もし地球を初めて訪れた宇宙人に、人間とはどんな存在なのか理解してもらうため、映画を一本だけ見せられるとしたら何を選びますか?

スピルバーグ: うーん……何だろう。世界中にある映画、映画文化全体の中から一本ですよね。

ブラント: 『素晴らしき哉、人生!』はいいんじゃないですか。複雑なところがあって。

スピルバーグ: ああ、いいね。大好きだ。それなら私はたぶん『ジョーズ』を観せます。とにかく海には入らないように、と警告するために(笑)。

ブラント:(笑)

──(笑)。ありがとうございます。スティーヴン、あなたは以前、俳優が役に自分なりのアイデアを持ち込むことで、監督自身のキャラクターの見方まで変わることがあると話していました。エミリーについてもそうでしたか? 彼女によってマーガレットという人物への理解はどう変わりましたか?

スピルバーグ: マーガレットという人物と、とても充実した時間を過ごすことができました。それはエミリーが彼女に、あれほどのリアリティ、自然さ、誠実さを与えてくれたからです。

私にとってマーガレットは、デヴィッドと私が脚本に書いた人物を超えて、ひとりの完全な人間になりました。

エミリーはこの役を自分自身の人生の中に取り込んでいった。人生のどの部分を活用したのかは彼女の裁量なので、それを私たちに説明する必要はありません。

でも、私と脚本家のデヴィッド・コープが最初に見つけたマーガレットという人物を超えて、エミリーは彼女自身のマーガレットを見つけたんです。そして、そのマーガレットは完全に彼女のものになった。

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よく「キャスティングは映画の成功の50%を占める」と言いますよね。でも『ディスクロージャー・デイ』の場合は、エミリーのおかげで75%です。

ブラント: ありがとうございます、スティーヴン。75%はちょっと多すぎますけど(笑)。

スピルバーグ: いや、いい数字だよ(笑)。もちろんコールマン(・ドミンゴ)やジョシュ(・オコナー)、コリン(・ファース)にイヴ(・ヒューソン)、それにワイアット(・ラッセル)もいましたからね。周りからの助けもありました。

ブラント: 本当にそうですね。この作品には素晴らしい“家族”がいました。

スピルバーグ: 美しい映画の家族でした。みんな自分の役には非常に真剣に取り組んでいましたが、撮影中は本当に楽しかった。

ブラント: そうでしたね。

──エミリー、実際にマーガレットというキャラクターについて、「こうしたい」と具体的に提案したアイデアはありましたか?

ブラント: 正直に言うと、脚本の段階ですでに、とても生き生きとしたキャラクターだったんです。

だから私にとっては、「どうすればこの人を自分なりのマーガレットにできるだろう」ということでした。何かひとつ具体的なアイデアがあったというより、ずっと続いていくコラボレーションでした。毎日スティーヴンと話しましたし、シーンを撮る前にも話しました。撮影に入る何カ月も前からです。

脚本を読んだときから、彼女は本当に特別な人物だと感じていました。脚本によっては、「この人を生きた人物にするために、自分は何をすればいいんだろう」と考えることもあります。でも今回は、キャラクターを生きた人間にするために、自分で細かなものを付け足していく必要をまったく感じなかった。マーガレットはそれくらい鮮明で、美しく書かれていました。

むしろ難しかったのは、自分自身の人生から参考にできるものがなかったことです。普通なら、自分が経験したことから何かを引き出すことができますよね。

でも、マーガレットが経験しているようなことを経験した人を私は知りません。自分の身体が、この“能力”によって乗っ取られてしまう。それをどうすれば真実味を持って見せられるのか。スティーヴンが作ろうとしている世界のリアリティから逸脱せず、どうすれば本物に見えるのか。それが私にとっての大きな課題でしたし、スティーヴンとも何度も話し合いました。

でも、それは結果的に私にとって大きな贈り物になりました。彼女が経験していること自体はとてつもなく異常なのに、その伝え方は観客が理解できるものでなくてはいけないからです。

──エミリー、近年は現代を代表する監督たちと仕事をされていますね。スティーヴン・スピルバーグ、クリストファー・ノーラン、そしてもちろん……ジョン・クラシンスキー(※『クワイエット・プレイス』シリーズの監督であり、エミリーの夫)です。

ブラント:アハハハ(笑)!そうそう!(笑)

スピルバーグ: 何よりまず、ジョン・クラシンスキーでしょう!(笑)

ブラント: そうですね(笑)。

──『クワイエット・プレイス』は素晴らしい劇場体験でしたよ!大好きです!

ブラント:実は、ちょうど『クワイエット・プレイス3』の撮影も終えたところなので、来年の夏には観てもらえると思います。

──それは楽しみです!さて、それぞれの監督は、あなたからどのように違った演技を引き出すのでしょうか?

ブラント: スティーヴン、ちょっと耳を塞いで(笑)。

スピルバーグ:オッケー!

ブラント: アハハハ(笑)!3人とも俳優との仕事が本当に素晴らしいんです。それと同時に、3人ともビジョナリーと言えるほどの巨大な才能を持っている。その両方を兼ね備えるのは、とても難しいことだと思います。普通はどちらかに寄る監督が多いですから。

だから、この3人と仕事をすると、その二重の才能を同時に受け取れる。それは俳優にとって大きな贈り物です。

ジョンは自分自身も俳優なので、いつも最初の3テイクくらいは何も言わずにやらせてくれます。クリスもスティーヴンも同じようなところがありますね。まず、自分で試してみる空間を十分に与えてくれるんです。最初の数テイクのうちに、自分で修正させてくれる。

3人とも、細かく管理するようなことはしません。俳優が何を持ち込んでくるのかについて、純粋な好奇心をお持ちで、自由を与えてくれます。

スティーヴンもクリスもジョンも、自分自身で脚本を書いていることがありますよね。監督自身が脚本家でもある場合、自分の頭の中ですでに見え方が決まっていて、それが俳優にとって拘束になる場合もあります。でも、この3人についてはまったくそう感じません。自分たちが書いたものの中で、俳優がどんな空間を見つけて、自分の居場所を作っていくのか。それを知りたいという好奇心がある。

俳優が求めているのは、まさにそれなんです。翼が欲しい。自由に動ける空間が欲しい。試すための空間、思い切って演じるための空間、そして安心できる環境が欲しい。そのすべてを3人とも持っています。

──最後にスティーヴンへ。この映画では、人々が集まり、地球外生命体の存在を目撃し、未知との遭遇という経験を共有します。それを見ていて、暗い映画館に見知らぬ人々が集まり、同じ映画を一緒に体験することを思い出しました。そういう意味で、この映画の宇宙人そのものを「映画」のメタファーとして捉えることはできますか?

スピルバーグ: そうですね、宇宙人そのものがメタファーなのかどうかは、私にはわかりません。ただ、映画というものは基本的に、人々をひとつにするものです。夜、子どもを寝かしつけながら物語を聞かせるときでも、世界中の映画館のスクリーンで壮大な物語を語るときでも同じです。

人々を集め、心を動かし、何かを伝え、気づきを与え、笑わせる。驚かせる。そして、その人たちを映画館へと導いた映画作家やストーリーテラーのレンズを通して、自分自身を見てもらう。

ある意味では、今日使えるメディアそのものが『ディスクロージャー・デイ』では重要になっています。この映画では、これまで隠されていた記録が世界中に公開されていくわけですが、それはすべてスクリーンを通して伝わっていく。大きなスクリーン、小さなスクリーン、持ち運べるスクリーン……。

そういう意味では、そこにはある種のメタファーがあるのかもしれませんね。今の時代、スクリーンがどれだけ大きいか、小さいかは問題ではない。大切なのは、そのスクリーンから発せられたメッセージが、人々の心に届くことなんです。

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──ありがとうございました。お二人とお話しできて本当に光栄でした。

ブラント: ありがとうございます。

スピルバーグ: ありがとう。君とこうして話せてよかったです。是非、また会いましょう。

──ありがとうございます。よい一日を。

ブラント: あなたも!

スピルバーグ: (日本語で)またね!

──おお!「See you」ですね(笑)。ありがとうございます。

スピルバーグ: その通り!(笑)

ブラント:アハハハ!(笑)

──(日本語で)ありがとうございます!

ブラント:(日本語で)ありがとう!

スピルバーグ:(日本語で)どうも、ありがとうございました!

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映画『ディスクロージャー・デイ』は公開中。