〈北海道赤い羽根・使途不明は2億5000万円〉「ドロボーとか金返せとか…そう思うのも当たり前」仕切り屋だった元事務局長、アルファード? マンション? カネはどこへ

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赤い羽根共同募金事業を北海道で行なう社会福祉法人「北海道共同募金会」で、募金の横領疑惑が出ている問題。同会は、消えた金の規模がこれまでの公表分よりさらに約7000万円増え、約2億5000万円に上ると言い始めた。関与が疑われる前事務局長A氏(58)に同会は接触できておらず、カネがどこへ消えたのか分からないという。募金への信頼を大きく揺るがせる事態を生んだ同会に直接事情を尋ねてみた。

【画像】横領が疑われている元事務局長の自宅

何に使ったか分からない、新たな約7000万円

9月16日に記者会見を開いた同会の瀬尾英⽣会⻑は、A氏の横領が疑われるとして6月に明らかにした不足金1億8000万円のほかに、2025年度決算作業で新たに何に使ったか分からない約7000万円の存在が分かったと説明し、「⼤変申し訳ない」と謝罪した。

これまでの説明では、2月17日に札幌国税局が当時事務局長だったA氏の所得税違反容疑で同会事務所に査察に入ったことで、同会は問題に気付いたという。

その後、預金口座の残高が少ないことに気づき、A氏が2020年以降、会の口座から自分の口座に送金するなどして金を持ち出していたことを確認したという。

「長年気づかなかったのは、A氏が決算前に金融機関などから借り入れをして口座の残高を一時的に増やし、決算後にその資金を返済し発覚しないよう工作していたためとみられると同会は説明しています。A氏が事務局長の立場で通帳や印鑑を一人で管理していたため可能だったとみられています。

チェックがない状態で募金が管理されていたことを重く見た厚生労働省は9月に入って、赤い羽根共同募金の会計処理は複数の役職員で行なうよう求める通達を出しています」(地元記者)

2025年度の北海道での赤い羽根共同募金の寄付⾦額は約6億7000万。消えたカネはその37%の規模で、同会から道内の福祉施設などへの助成が大幅にカットされ、「もう募金はしない」という街の声が報じられるなどすでに重大な影響が出ている。

7月にA氏を懲戒解雇した同会は、弁護士らによる第三者委員会を設置し実態解明に当たるとしている。再発防止と信頼回復はできるのか、直接聞いてみた。

「仕切り屋っていうか…きちっとしてるところがありました」

瀬尾会長の会見翌日に札幌市中心部の事務所を訪ねると、5人の職員が鳴り続く電話の対応に追われていた。

「会見の後、昨日今日で(抗議電話は)50件ぐらいですかね。『泥棒』とか『カネ返せ』とか、もうかなり汚い言葉で。まあそう思うのは世間一般的には当たり前なのかなとは思いますね」

そう話すのはA氏の後任のB事務局長。使途不明金額が今になって増えた理由をこう説明した。

「助成金を3月に払う段階になって、あるべき残高と実際の残高が大きく違っていて、それが先に出ている(6月15日の会見で明らかにした)1億8000万円という数字です。その時は決算も終了していなくて、ないお金(の規模)を出さざるを得なかったのです。

その後決算を今やってます。本当は6月に決算が終わるはずでしたが、国税に押収された通帳のコピーなどの必要なものが取れるようになったので決算作業を会計士にやってもらい、さらに7000万円がないと8月下旬に分かりました。いろいろ仕訳した結果、2億5000万円という数字が出たということです。

何に使われたかですか? それがいま第三者委員会で調べてもらうことになっていて、分かっていません」(B事務局長)

大きな謎として浮上しているのが2億5000万円ものカネが消えた先だ。A氏の生活についてB事務局長は、ブランド物を持ったり夜の街に足しげく通ったりしている気配はまったく感じなかったという。

A氏の上司だった天羽啓前常務理事も「(A氏は)お酒はそんな飲まないと思います。 趣味はわからないですね。最近はアルファードに乗ってました。別に派手になったなとか、そういうわけではないです」と言い、A氏が何かに投資しているという話も聞いたことはないという。

「(A氏は)身なりはちゃんとしてました、派手っていうほどではないと思います。僕なんか上司で年齢も上ですが、服装のことでだらしないんで『ピチっとしろ。いつお客さんが来るか分からないんだから』って怒られたこともあります。仕切り屋っていうか、きちっとしてるところがありました」(天羽氏)

A氏本人に話を聞こうと自宅に行くと…

A氏は札幌市中心部から東に約20キロ離れた自宅から職場に通っていた。2007年に購入した自宅マンションには3300万円の抵当権が設定されている。

本人に話を聞こうとマンションのインターフォンを押したが反応はない。マンションの関係者は「A氏はひとりで出入りする姿しか見ていません。彼は4、5か月前からスーツを着なくなり、朝決まった時間に出てくることもなくなりました。最近はほとんど見かけません」と話した。

問題発覚の契機になった国税の査察が入った2月17日の直後、同会はA氏に事情を聴いているが「当時は国税局さんの調査が始まったばかりで、自由にしゃべるっていうことがはばかられるんだという本人の説明で具体的な話というのは聞けていない状態です」と天羽氏は6月の会見で説明していた。

B事務局長も「向こうは弁護士を立てていて、その弁護士ともやりとりはしてません」と話し、カネを何に使ったのかA氏側に問いただすことができていないようだ。

いっぽうで、別の元同僚は、A氏が資金流用の発覚を防ぐため決算前に一時的に借り入れをしていたとされることについて重大な問題を口にした。

「取引先からお金を一時的に入金させたりっていうことが疑われてるみたいですね。相手先に迷惑がかかったらいけないので言えないんですけど、(借りた先は) 彼が関わっていたところといった話もある。詳しくはまだわかりません」

A氏は、同会が募金を原資に助成金を支給する先に、資金の融通を頼んでいた疑いがあるというのだ。助成先施設の選定や助成金額の決定にも大きな発言権を持った可能性がある共同募金会の幹部が助成先に「カネを貸してくれ」と頼んでいたとすれば、事件はまた別の様相を呈してくる。

募金の巨額流用疑惑は沈静化どころか拡大の一途をたどっている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班