「中学生がゲームに77万円課金」ショックで眠れない母親に返金のチャンスはある? 知っておきたい“未成年者取消権”
「中学生の子どもが、この夏休み期間にゲーム課金77万円。この3日間寝られません」
この夏、SNSに投稿された、子どものゲーム課金をめぐる母親の悲痛な訴えが注目を集めました。
投稿によると、子どもが夏休み中、複数のゲームやサービスで計77万円を課金したといいます。投稿には「同じく1カ月で93万円課金されました」「うちも3カ月で60万円くらいやられました」など、同様の経験をした保護者からの声も寄せられました。
こうしたトラブルは珍しいものではありません。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられたオンラインゲームに関する相談は、2025年度に年間6000件以上寄せられています。
未成年者をめぐっては、小中学生による無断課金の相談が目立ち、2023年度の平均支払額は小学生で10万円を超え、中学生では20万円近くに上っています。
一方、SNSでは「未成年者が保護者の同意なく課金したのであれば、未成年者取消権によって返金を求められる可能性がある」との助言もありました。
では、中学生が親に無断で高額課金した場合、本当に取り消して返金してもらえるのでしょうか。親のアカウントやクレジットカードを使っていた場合はどうなるのでしょうか。
こうしたトラブルに保護者はどう対応すべきなのか。日向一仁弁護士が詳しく解説します。
●「未成年者取消権」で取り消せる可能性
中学生が親の同意なくオンラインゲームで課金した場合、その課金契約は、原則として「未成年者取消権」により取り消せる可能性があります。
民法では、未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は取り消すことができるとされており、取消しが認められれば、ゲーム提供事業者等に返金を求めることが考えられます。
もっとも、「未成年者が課金した」というだけで必ず全額返金されるわけではありません。
・親が課金に同意していた
・自由に使うことを許されていた小遣いの範囲内で課金した
・未成年者が相手に成人であると信じさせるため「詐術」を用いた
こんな場合には、取消しが認められないことがあります。
●親のApple IDやカードで課金した場合は?
親名義のApple IDやクレジットカードを使用していた場合でも、それだけで未成年者取消しが否定されるわけではありません。ただし、親名義のアカウントが使われている場合には、本当に子どもが無断で課金したのかが事実上争われることがあります。
また、クレジットカードの管理が不十分であった場合には、カード会社との関係で親の管理責任が問題となり、カード利用代金の負担を免れない可能性もあります。
●「成人です」と偽ったら取り消せない?
年齢確認画面で「成人ですか」と聞かれて「はい」を選択しただけで、当然に民法上の「詐術」に当たるわけではありません。他方、虚偽の生年月日を入力するなどして年齢確認の仕組みを意図的にすり抜けた場合には、画面の表示や警告内容、子どもの年齢などの事情によっては、詐術と判断され、取消しが認められない可能性が高まります。
●ゲーム内でアイテムや通貨を使っていた場合は?
また、購入したゲーム内アイテムや通貨をすでに使っていたとしても、それだけで取消しができなくなるわけではありません。取消しが認められた場合、未成年者側の返還義務は、法律上、現在も残っている利益の範囲に限られます。ゲーム内アイテムなどのデジタルコンテンツについては、その後は使用できなくなり、事業者から消去を求められることが考えられます。
●高額課金が発覚したら、まず何をする?
高額課金が判明した場合には、課金履歴、利用したアカウント、決済方法、年齢登録などの資料を保存し、早めにプラットフォーム事業者やゲーム提供事業者に、未成年者による無断課金であることを申し出ることが重要です。
【取材協力弁護士】
日向 一仁(ひゅうが・かずひと)弁護士
平成18年弁護士登録。東京弁護士会所属。離婚・相続・訴訟・企業法務・不動産紛争(借地権紛争を含む)等を取り扱う。平成24年5月に東京渋谷法律事務所を開設。
事務所名:東京渋谷法律事務所
事務所URL:https://tokyo-law.jp/

