大の里は藤凌駕を引き落としでくだす (カメラ・越川 亙)

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大相撲秋場所9日目(21日、東京・両国国技館

 横綱・大の里が初顔合わせの西前頭4枚目・藤凌駕を引き落とし、勝ち越しを決めた。1敗で単独首位をキープ。2年連続で制している得意の秋場所で、1年ぶりの優勝を狙う。大関・霧島は小結・大栄翔に引き落とされて4敗となり、綱取りは振り出しに戻った。大関昇進が懸かる関脇・熱海富士は東前頭2枚目・高安を押し倒して7勝目。大の里を2敗で熱海富士、新関脇・藤ノ川、平幕の美ノ海と金峰山が追う。

 大の里が横綱初挑戦の新鋭を退けた。立ち合いで一直線にぶつかってきた藤凌駕を右でかち上げて受け止め、素早く左に開きながらの引き落とし。2秒で土俵にはわせた。前に出る内容ではなかったものの、8月の夏巡業で2日間指名して計15番取った新鋭をはね返して5連勝。「しっかりと対応できた。落ち着いて、自分のやるべきことをできたと思う」とうなずいた。

 2場所連続休場から復帰した先場所は12日目に6敗目を喫した。負け越しの可能性もあった中で休場を考えず、3連勝で巻き返して9勝6敗で終えた。苦しい経験を経て、今場所は「先場所より良くなっているのが自分でも分かる」と復調を実感。皆勤して2ケタ白星に届かなかった横綱が次の場所で賜杯を抱けば、2012年九州場所(9勝6敗)から巻き返して13年初場所で全勝優勝した日馬富士以来。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では8例目の復活劇となる。

 2年連続で優勝している得意の秋場所で、1敗を守って単独首位を走る。豊昇龍が休場する中で、一人横綱として優勝争いを引っ張る姿に、八角理事長(元横綱・北勝海)は「場所前は苦戦すると思っていた。私の予想が外れたみたいで良かった」と目を細めた。

 この日は地元・石川県の奥能登地域の記録的豪雨から2年を迎えた。「2年前に石川が大変なことになった。優勝で大関を決めた場所で、横綱として初めて優勝した場所でもある。今回も石川にいい報告ができるように頑張っていきたい」。故郷への思いを力に変え、1年ぶりの復活Vへ突き進む。(林 直史)