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 ◇陸上・アルティメット選手権(2026年9月12日 ハンガリー・ブダペスト)

 女子やり投げで24年パリ五輪金メダルの北口榛花(28=JAL)が68メートル92の日本新記録で優勝した。2投目に記録を大きく伸ばし、トップに立っていた18歳の新星・厳子怡(ゲン・シイ、中国)を逆転。23年に樹立した自身の記録を1メートル54更新し、世界歴代10位タイの記録となった。世界トップが集う新設大会で優勝賞金15万ドル(約2310万円)を獲得。19日開幕の愛知・名古屋アジア大会に弾みをつけた。

 北口は跳びはねて喜んだ。2投目。勢いに乗った助走から放たれたやりが、大きな放物線を描く。70メートル手前に突き刺さり、満員の会場がどよめいた。68メートル92。3年前にマークした自身の日本記録を1メートル54も上回るビッグスロー。1投目に68メートル05を出したライバルの厳子怡を逆転した。

 「私は投げた瞬間に距離が分かるタイプではない。着地して、記録が出て“わー”みたいな感じ」。斜めに飛んだ1投目から、やりの向きを修正。助走はスピードが出過ぎることを恐れず地面を踏み込んだ。世界の精鋭8人で争った新たな祭典。23年世界選手権を制したブダペストで再び栄冠を手にした。

 昨季は右肘痛に苦しみ、世界選手権東京大会で予選落ち。今季から男子世界記録保持者のヤン・ゼレズニー氏に師事する。当初は20個近く改善点を指摘されて戸惑ったが、8月に最高峰のダイヤモンドリーグを制し、前週は今季自己最高記録をマーク。「シンプルにやり投げをすることにかなり近づいていけているのではないか」。思考も整理された。

 やりを目線の位置で持ち続ける新フォームも体に染み込み「やっと胸を張って堂々と“帰ってきたよ”と言える結果を出せて良かった」。世界歴代2位の71メートル74の記録を持つ厳子怡とはアジア大会で再戦する。「彼女も絶対にこのまま終わる選手ではない。しっかり準備したい」と北口。決戦は27日。名古屋の夜空にも最高の放物線を描く。

 ▽アルティメット選手権 世界陸連が新設した「真の王者」を決める大会。出場資格を得るのは五輪、世界選手権の金メダリスト、世界ランク上位者らトップ選手のみで、少数精鋭で争う。出場した全選手に賞金が用意され、各種目の優勝者は15万ドル(約2310万円)を獲得。世界陸連によると、賞金総額は陸上では過去最高額の1000万ドル(約15億4000万円)。今後は偶数年に開催される予定。