“あの減塩法”で高血圧を改善?心房粗動のリスクを下げる「3つの生活習慣」

高血圧と心房粗動を併発している場合、それぞれを別々に考えるのではなく、両方を並行して管理することが大切です。降圧治療が心房粗動の予防や再発抑制にもつながる理由や、カテーテルアブレーションなどの治療の選択肢、さらに食事・運動・禁煙・飲酒など生活習慣の見直しで取り組めることをご紹介します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

心房粗動と高血圧を同時に管理するために

このセクションでは、高血圧と心房粗動を併発している人が、それぞれの病態をどのように管理・治療していくべきかについて解説します。二つの疾患を同時にコントロールするためには、医療的な治療と生活習慣の見直しの両方が求められます。

降圧治療が心房粗動に与える効果

高血圧の治療(降圧治療)を適切に行うことは、心房粗動の予防や管理においても大きな意味を持ちます。血圧を適切な範囲にコントロールすることで、心臓への過剰な負担が軽減され、心房の拡大や構造変化の進行を抑えることが期待されます。

降圧薬にはさまざまな種類があります。なかでも、RAS阻害薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)と呼ばれる薬剤群は、血圧を下げるだけでなく、心臓のリモデリング(構造的な変化)を抑える効果があるとされており、不整脈の予防という観点からも注目されています。ただし、どの薬剤が適しているかは個人の状態によって異なるため、必ず医師の判断のもとで処方を受けることが前提となります。

心房粗動そのものの治療としては、お薬で脈拍数を抑える薬物療法のほかに、根治を目指す「カテーテルアブレーション」というカテーテル治療が非常に有効です。

カテーテルアブレーションとは、太ももの付け根の血管から細い管(カテーテル)を心臓内へ進め、不整脈の原因となっている異常な電気回路の通り道(通常は右心房内の三尖弁と下大静脈の間にある「峡部(きょうぶ)」と呼ばれる電気の通り道)を高周波の熱で焼灼(焼いて電気を通さなく)する治療法です。典型的な心房粗動に対するアブレーション治療は、手技の成功率・根治率が95%以上と非常に高く、一度の治療で薬を減らせる可能性が高い標準治療として確立されています。

生活習慣の改善で両方のリスクを下げる方法

薬物治療と並行して、生活習慣の改善が高血圧と心房粗動の両方のリスクを下げるために重要です。具体的に取り組みやすい方法をいくつか挙げます。

まず、食事の見直しです。塩分の摂り過ぎは血圧を上げる大きな要因となります。1日6g未満を目安とした減塩を心がけましょう。出汁やスパイス、酢を活用すると無理なく減塩できます。加工食品や外食には塩分が多く含まれていることが多いため、食品表示を確認する習慣をつけることが助けになります。また、野菜や果物、魚を中心とした食事は血圧管理にも有益と考えられています。

次に、適度な運動です。ウォーキングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待できます。ただし、心房粗動の人が急激な激しい運動を行うと、心拍数が急上昇して症状が悪化することがあります。運動の種類や強度については、必ず主治医に相談したうえで取り組むことが大切です。

禁煙も重要な対策の一つです。喫煙は血管を収縮させて血圧を上げ、心臓への負担を増大させます。また、飲酒も過度になると血圧を上昇させ、不整脈のリスクを高めるとされているため、節度ある飲酒を心がけることが望まれます。アルコール(特にお酒の大量摂取)は心房粗動や心房細動の強力な誘因となります。「休肝日をつくる」「適量にとどめる」ことを徹底し、タバコは即座に禁煙を目指しましょう。

睡眠の質を確保することも、自律神経のバランスを整えるうえで大切な要素です。睡眠不足や過度なストレスは交感神経を刺激し、血圧上昇と不整脈発作の両方を引き起こします。規則正しい生活習慣を意識しましょう。

まとめ

心房粗動は、高血圧による心臓への負担や飲酒・睡眠時無呼吸などが背景となって起こりやすい不整脈です。カフェインの影響には個人差があり、症状との関連を自分で観察することが大切です。心房粗動はカテーテルアブレーション治療などで根治を目指せる疾患でもあります。

日頃から血圧測定や脈拍チェックの習慣をもち、高血圧の治療や生活習慣の改善に取り組むことが予防につながります。前兆となる動悸や脈の異常を感じたら放置せず、早めに循環器内科の専門医を受診して正確な診断と治療を受けましょう。

参考文献

一般社団法人 日本循環器学会 / 日本不整脈心電学会「2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン」

日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」