米軍岩国基地

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 米軍岩国基地山口県岩国市)内で設備メンテナンスに従事していた50歳代の男性が精神疾患になったのは、勤務していた米国系企業(東京都)とその元請け会社による退職の強要や上司のパワーハラスメントなどが原因だったとして、岩国労働基準監督署が3月、労災認定していたことがわかった。

 男性の代理人の谷真介弁護士によると、米軍基地内で起きた労働トラブルは裏付けをとるのが難しく、労災認定されるケースは珍しいという。

 谷弁護士によると、男性は2021年に米国系企業に採用された。その後、採用された企業ではなく元請け会社のマネジャーから直接業務を指示されるようになり、資格のない高所作業の監督業務を担当させられ、時間外労働時間が増加したこともあって心身に不調をきたした。環境の改善を求めたが、企業側は応じなかったという。

 23年1月、男性に新型コロナウイルスに感染させられたと思った日本人の上司から「お前のことを一生恨む 絶対に許さん」とのメッセージを受けたほか、両社との面談で勤務態度の悪さなどを指摘され、退職を示唆されて適応障害となり休職した。

 同6月に復職を申し出たが、元請け会社の米国人マネジャーから拒絶され、基地に入るための許可証の返還を求められた。男性はトイレに逃げたが、マネジャーに力ずくで腕をつかまれたため、軽傷を負った。男性はかけつけた米軍憲兵に手錠をかけられ、基地外に連行されて許可証も押収された。

 労基署は、同年1月までの出来事が原因で強い心理的負荷がかかって発病に至り、症状が継続しているとして業務上災害と認定。同6月の出来事も事実認定した。男性は取材に対し、「表に出にくい基地内の出来事だったので認められてよかった」と話している。

 谷弁護士は、「在日米軍基地内という閉鎖空間で違法状態におかれ、被害を訴えても改善されなかった構造的な問題がある。今回の認定は基地で働く人の権利保護に関わる重要な先例となる」と評価している。

 男性は米国系企業と元請け会社を相手取り、地位確認などを求めて係争中。男性を採用した企業は現在、同基地内の業務は行っていないと説明し、「言いたいことは山ほどあるが、コメントは差し控えたい」としている。