気象庁は9日、最新の「エルニーニョ監視速報」を発表しました。今年の春から続いているエルニーニョ現象について、今後冬にかけて継続する見込みが「100%」としています。

各地で異常気象をもたらしているエルニーニョ現象が、冬まで続くことで何が起こるのか?

過去には「都心で豪雪」もあった「秋から冬のエルニーニョで起こることに」ついて解説します。

気象庁が冬まで続くと予想「エルニーニョ現象」で起こること

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道付近(南米ペルー沖~中部)の海面水温が、普段より高くなる現象です。

東から西へ吹く「貿易風」が弱まることで、西側の暖かい海水が東へ流れ込み、広い範囲で海が温まります。

すると大量の水蒸気が発生し、普段とは違う場所で積乱雲が発達します。この雲のズレが偏西風など「地球全体の空気の流れ」を狂わせるため、世界各地で大雨や干ばつといった異常気象を引き起こす原因となるのです。

冬にかけて継続する確率は「100%」、過去最大級の発達へ

気象庁が9日に発表した詳細な見通しによると、現在の太平洋赤道域に見られる暖かい海水は、今後も高い水温のまま維持されると予測されています。

このため気象庁は、現在のエルニーニョ現象が最盛期を迎える「冬にかけて継続する見込みは100%」と発表しました。

過去最大だった1997年に匹敵するスーパーエルニーニョ

今回特に警戒が必要なのは、エルニーニョ現象の勢力です。8月の監視海域での海面水温は、基準値より3.4℃高く、8月としては過去最高だった1997年の記録を上回りました。

今後さらに発達し、冬の最盛期には観測史上最大級だった1997年12月に匹敵する、歴史的な強さのエルニーニョ現象になる見通しです。

何が起こる?秋~冬のエルニーニョ現象

エルニーニョ現象が冬まで長引くと、日本付近では冬型の気圧配置(西高東低)が弱まる傾向にあります。そのため、全国的には寒気の影響を受けにくく「暖冬」になりやすいのが特徴です。

日本海側では降雪量が減り、スキー場の営業難や春以降の農業用水の不足などが懸念されます。

その一方で、本州の南を「南岸低気圧」が通過しやすくなるため、普段雪の少ない太平洋側の地域で思わぬ大雪に見舞われるリスクが高まるという、極端な現象が起こりやすくなります。

【1997年~1998年】過去最大級のエルニーニョと「都心豪雪」

今回の予測と同等とされるのが、観測史上最大級の強さだった1997年~1998年の事例です。

気象庁の過去の天候データによれば、この年の冬は全国的に顕著な暖冬となり、2月の長野オリンピックでは雪不足が大きく懸念されました。

その一方で、太平洋側には南岸低気圧が襲来し、1998年1月9日には、東京で15センチ、横浜で20センチ、宇都宮で29センチなど関東で豪雪となりました。

【2015年の事例】平成27年9月関東・東北豪雨

前線に台風や熱帯低気圧から暖湿流が流れ込み続けるて災害級の大雨になるケースは、今年も発生しています。

2015年9月には、本州に停滞していた秋雨前線に向かって、台風から変わった温帯低気圧などから暖かく湿った空気が流れ込み続けたことにより、関東から東北は記録的な大雨に見舞われました。

茨城県の鬼怒川が氾濫・決壊し、茨城県及び栃木県、宮城県で死者8人、関東地方や東北地方を中心に家屋損壊4,000棟以上、12,000 棟以上の浸水被害がありました。

【2023年~2024年の事例】暖冬下に「大雪警報」都心でも8センチ積雪

エルニーニョ現象が発生していた2023年の冬は、全国の平均気温が統計開始以降で「第2位の高温」となる歴史的な大暖冬でした。

しかし、2024年2月5日から6日にかけて、本州南岸を進む低気圧の影響で、東日本の太平洋側を中心に大雪となり、気象庁は東京23区を含む関東甲信のすべての都県に大雪警報を発表しました。

都心でも8センチほどの積雪を観測し、帰宅ラッシュの時間帯を中心に交通網に多大な影響が生じました。

歴史的な強さとなっている今回のエルニーニョ現象により、これからの季節も極端な天候が起こりやすくなります。秋の台風や大雨への対策はもちろん、冬の大雪に向けても心構えが必要です。