コレステロール・中性脂肪は「食べ物」で下げる! “やってはいけない習慣”4選も医師が解説

「糖分や油物に気をつけているのに、なかなかコレステロールや中性脂肪が下がらない」と感じている人は多いはずです。「食事制限が足りないのか」と自分を責めている人もいるかもしれません。しかし実はその数値、努力不足とは限りません。食生活や運動習慣だけでなく、遺伝やホルモン、年齢の要素も切り離せないためです。それでも、日々体に取り入れるものを少し見直すだけでコレステロールや中性脂肪の値は改善する可能性があります。今回は舛森(ますもり)先生に、近年発表された研究結果もふまえ、今日から取り入れられる食生活の工夫を伺いました。

監修医師:
舛森 悠(YouTube医療大学)

2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者98万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。

≫【医師解説】コレステロールや中性脂肪をぐんぐん下げる方法を紹介【50代60代必見】

コレステロールの役割とは? 配達のLDL、掃除のHDL

編集部

そもそもコレステロールは、低ければ低いほどよいのでしょうか?

舛森先生

いいえ、低ければよいものではありません。細胞の膜を構成する主成分は脂質、つまり油です。女性ホルモンや男性ホルモン、甲状腺ホルモン、脳内の伝達物質の多くも脂質から作られますから、脂質の控えすぎやコレステロールの低すぎも問題になります。

編集部

しかし、LDLは「悪玉」と呼ばれますよね。

舛森先生

俗称で悪玉と呼ばれますが、悪者ではありません。例えるならLDLは肝臓でつくられたコレステロール、すなわち細胞の原料を体の末端へ運ぶ「配達屋」、HDL(善玉)は全身に運ばれたコレステロールのうち余った分だけを肝臓へ戻す「掃除屋」です。血管中に余った油は血管壁に沈着し、動脈硬化(どうみゃくこうか)の原因になりますが、HDLが油を回収してくれることで動脈硬化を防いでくれるわけです。

編集部

では、中性脂肪も悪者ではないのですか?

舛森先生

はい。これも誤解されがちですが、悪者ではありません。中性脂肪は車でいう「予備のガソリン」です。

歴史的に飢餓と戦ってきた人類にとって、食べられない状況が続くことは珍しくありませんでした。獲物を捕らえて食事にありつけても、次にいつ食べられる日が来るかわかりませんから、一回の食事から得るエネルギーを効率よく蓄える必要がありました。その最適な形が脂質、つまり中性脂肪だったのです。

編集部

では、増えても問題はないのでしょうか?

舛森先生

いいえ、中性脂肪が高すぎると問題になります。中性脂肪が増えることで、LDLが小型化します。この小型化LDLは血管の壁に入り込みやすく、動脈硬化をより進行させることが最近の研究で明らかになってきました。

コレステロールも中性脂肪も、極端に低くなるのは良くありませんが、適正な値を保つことはより重要です。そこでここからは、コレステロールを下げる「食べ物・果物・飲み物」について紹介していきます。

【食べ物】卵は悪者ではない。キーワードは良い油と繊維

編集部

ではまず、食べ物から教えてください。コレステロールの高い食べ物と言えば最初に気になるのが卵です。「1日1個まで」とよく聞きますが……。

舛森先生

結論からいうと、卵の摂取制限がコレステロールの低下に結びつく科学的根拠はありません。卵自体がコレステロールを下げるわけではないので誤解しないでほしいのですが、過度に恐れる必要はないという意味で挙げました。

最近の研究では血液中のコレステロールの8割は肝臓で作られており、食事からの影響はそこまで大きくないと考えられています。

編集部

つまり、卵のコレステロールは気にしすぎなくてよいと。

舛森先生

ええ。2020年に医学雑誌『JAMA』に掲載された、17万人以上を対象とした米国の研究では、健康な人において、1日1個の卵の継続摂取と将来的な心血管疾患のリスク上昇には関連が見られませんでした。各国のガイドラインにも「1日1個まで」という制限は明記されていません。

2024年には、すでに心臓病のリスクが高い140人を対象にした試験も報告されました。栄養を強化した卵を週12個以上食べたグループと、週2個未満に控えたグループを4カ月比較した結果、両グループ間でHDLおよびLDLコレステロールに差は認められませんでした。むしろ高齢の人や糖尿病の人では、卵を多く食べたグループのほうでLDLがやや下がる傾向もみられました。

編集部

我慢しすぎるのもよくないのですね。

舛森先生

はい。以前当外来に、卵を数年間禁止していたのにコレステロールが下がらないと訴える女性が受診されました。実は、その女性はもともと肉も魚も苦手で、卵まで封印した結果、食べるものがお米やチーズなどのタンパク質が多くないものに偏り、筋肉量が落ちて体重も増えていました。筋肉量が減ると代謝が下がり、かえって太りやすくなります。

編集部

卵を控えたことが、かえって逆効果になっていたのですか。

舛森先生

卵は完全栄養食ともいわれ、必須アミノ酸やビタミンが豊富です。コレステロールばかり怖がって卵を減らすより、脂身やバターに多い飽和脂肪酸を減らすほうがよほど健康によいと思います。この点も2025年発表の研究で裏づけられています。

約6万6000人分の複数試験を解析した大規模研究の結果、飽和脂肪酸の摂取量の削減による死亡・心血管イベント発生率低減への効果は、もともと心臓病のリスクが高い人ほど大きいことがわかりました。しかも、ただ減らすだけでなく、青魚や植物油に多い「不飽和脂肪酸」に置き換えると、より効果が期待できることも示されたのです。「悪い油を減らして、よい油に替える」ことが大事です。

編集部

良質な油を取るようにしたいです。卵以外で注目の食べ物はありますか?

舛森先生

海藻類とキノコ類です。もずくの「フコイダン」や昆布の「アルギン酸」といったネバネバ成分は水溶性食物繊維で、コレステロールをがっちり捕まえ便と一緒に排出してくれます。みそ汁にわかめを入れる、もずく1パックを追加するなど、少量取り入れてみるだけでも変化がみられるかもしれません。ただ、海藻類はヨウ素が多いので甲状腺の病気がある人は注意が必要です。

編集部

どのくらいの効果が見込めるのでしょうか?

舛森先生

1999年のメタ解析では1日1gを摂取するとLDLが約1%低下、2023年の研究では1日5gで約5%下がることが示されました。この効果は2023年報告の大規模解析(181件の試験・約1万4000人)でも改めて確認されています。

編集部

キノコはいかがですか?

舛森先生

キノコに含まれる「βグルカン」という水溶性食物繊維も、複数のメタ解析により、1日3g以上の摂取でLDLが約5~7%低下すると報告されています。

【果物】りんごは皮ごと、ブルーベリーは冷凍で食べる

編集部

次に果物について教えてください。糖分が気になるところですが、うまく取り入れるコツはありますか?

舛森先生

大前提として、果物はジュースではなく「そのまま」食べてください。2013年の研究でも、果物を生で食べる人は糖尿病リスクが低い一方、フルーツジュースを飲む人は逆に高かったと報告されています。果物の糖分(果糖)は吸収が早いという特徴があります。一気に飲めるジュースだと血糖値が急上昇しますが、固形で食べれば比較的ゆっくり吸収されますし、食物繊維も失われません。

編集部

おすすめの果物はありますか?

舛森先生

水溶性食物繊維「ペクチン」が含まれるりんごです。レビュー研究(いくつかの臨床試験をまとめた研究)ではりんご半分~1個分、1日3~6gのペクチン摂取でコレステロールが6~10%低下したと報告されています。ペクチンは皮に多く含まれるので皮は剥かず、よく洗って皮ごと食べてください。

編集部

ほかにはありますか?

舛森先生

抗酸化物質「アントシアニン」が含まれるブルーベリーです。LDLは酸化して血管を傷つける原因になりますが、アントシアニンにはその酸化を防ぐ効果が期待されています。コレステロールが高い患者さんを対象にした2021年の米国の論文では、1日320mgのアントシアニンを摂取したグループは、アントシアニンを摂取していないグループに比べて12週間でLDLコレステロールが約13%低下し、HDLコレステロールが約13%上昇しました。

編集部

アントシアニンだけでそれほどの効果が期待できるのは嬉しいですね。

舛森先生

ただ、あくまでも一つの研究の結果ですから、期待を持ちすぎないことも大切です。その後の研究をまとめると効果はもう少し控えめで、LDLの低下は平均で5mg/dL程度という解析もあれば、アントシアニンだけを抽出したサプリメントでは効果が出なかったという研究もあります。だからこそ、サプリメントに頼るより、食物繊維やビタミンも一緒にとれる「果実そのもの」で取り入れるのがおすすめです。冷凍でもアントシアニンの栄養価は変わりにくいので、手軽に取り入れるなら冷凍ブルーベリーを活用すると良いと思います。

編集部

ブルーベリーは糖尿病にもよいと聞いたことがあります。

舛森先生

そのとおりです。大規模な追跡データで、ブルーベリーを日常的に食べる人は2型糖尿病のリスクが低い傾向があると報告されています。

編集部

キウイやバナナはどうでしょう?

舛森先生

コレステロールを下げるデータこそ乏しいものの、キウイは食物繊維、バナナはカリウムが豊富ですから、血圧・血糖値を含めた動脈硬化全体の視点ではおすすめの果物です。カリウムは脳卒中リスクを下げる報告もあります。

編集部

逆に、注意すべき果物はありますか?

舛森先生

グレープフルーツには要注意です。スタチン系のコレステロールの薬や一部の血圧の薬と一緒に食べると薬が効きすぎることがあり、特にスタチンでは同時摂取で横紋筋融解症という合併症をきたす恐れがあります。薬を服用中の人はグレープフルーツを控えるか、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に相談してください。

【飲み物】甘い飲み物を緑茶やコーヒーに置き換え

編集部

最後に飲み物について教えてください。

舛森先生

先に「よくない飲み物」から説明します。甘いジュースや砂糖たっぷりのカフェオレ、炭酸飲料、スポーツドリンクは避けたいですね。2009年の研究でも加糖の飲み物で肝臓の中性脂肪合成が増えることが報告されています。

これらの飲み物を習慣的に飲んでいる人は、今から挙げる3つの飲み物のいずれかに置き換えるだけでもコレステロールの低下が期待できます。

1つ目は緑茶です。緑茶に含まれる抗酸化物質「カテキン」がポイントで、2011年の研究では、緑茶およびその抽出物の摂取により、総コレステロールとLDLコレステロールが平均約5.3%低下しました。

編集部

緑茶ならすぐ入手できますね。2つ目は何でしょう?

舛森先生

ブラックコーヒーです。コーヒーに含まれる抗酸化物質「クロロゲン酸」がLDLの酸化防止に有効であるといわれています。ただし砂糖は加えないでください。また淹れ方にも注意が必要で、フレンチプレスや煮出しコーヒーの場合、コレステロールを上げる成分(カフェストールなど)が残存してしまいます。おすすめの方法はペーパーフィルターです。

編集部

その「淹れ方の差」は、どのくらいあるものなのでしょう?

舛森先生

2025年にスウェーデンの研究チームが淹れ方ごとにカフェストールを測定したところ、ペーパーフィルターのコーヒーはこの成分が非常に少なく、フィルターを通さないコーヒーや一部のマシンコーヒー・エスプレッソでは数倍~数十倍高いという結果でした。研究者らは、フィルターを通さないコーヒーをペーパーフィルターのものに替えるだけで、LDLコレステロールの低下が期待できると報告しています。

編集部

3つ目は何ですか?

舛森先生

アップルサイダービネガーです。わずかながら体重や血糖値、中性脂肪などに改善効果が期待されると2026年に報告され、現在注目を集めています(ただし結果にはばらつきもあります)。

【要注意】食事の努力は「4つの生活習慣」で台無しに

編集部

最後に、食事以外で大切なことはありますか?

舛森先生

食事の頑張りを台無しにしかねない4つの習慣――ストレス・運動不足・お酒・たばこをできる限りなくすことです。

強いストレスはホルモンバランスを乱し、食べすぎを招くので、週1回は好きなものを食べてよいルールを作る、月1回はチートデーを設けるなど、心の栄養も大切にしましょう。

運動、特に有酸素運動には、中性脂肪を下げHDLコレステロールを上げる作用が期待されます。2024~2025年にかけて発表されたいくつかの研究でも、有酸素運動で中性脂肪・LDLの低下とHDLの上昇効果が改めて示されました。運動は10分未満、細切れでも効果があるとされます。まずは5分、10分からで構いませんので、日常生活に少しずつ取り入れましょう。

編集部

お酒とたばこはいかがですか?

舛森先生

お酒は中性脂肪を上げ、たばこはLDLを酸化させ動脈硬化を促進します。休肝日を作る、たばこを吸いたくなったら飴やガムに代えるなど、少しずつ改善していきましょう。

舛森先生からのメッセージ

中性脂肪やコレステロール値がなかなか下がらなくても、どうか自分を責めないでください。遺伝やホルモン、年齢の要素もありますから、一概にあなたの努力不足とは限りません。今日お伝えした中から「これなら続けられそう」というものを一つでも見つけ、生活に取り入れてみてください。今の不安は未来の希望に変わっていくはずです。また、すでにコレステロールが非常に高い、遺伝性であることがわかっている、薬を飲んでいるといった人は、自己判断せずかかりつけの先生に相談したうえで取り入れてくださいね。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。気になる症状があるかたや現在薬を服用中のかたは、自己判断で中断・調整を行わず、必ずかかりつけの医療機関や専門医にご相談ください。

<本記事で参照した主な研究>

卵と心血管リスク:Nouhravesh N, et al. American Heart Journal, 2025; 279: 27-39.(DOI: 10.1016/j.ahj.2024.10.005/PROSPERITY試験)

飽和脂肪酸の削減・置き換え:Steen JP, et al. Annals of Internal Medicine, 2026; 179(2): 242-255.(DOI: 10.7326/ANNALS-25-02229)

水溶性食物繊維と血中脂質:用量反応メタ解析(Advances in Nutrition, 2023/181件のRCT)ほか

コーヒーの淹れ方とカフェストール:Orrje E, et al. Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases, 2025.(DOI: 10.1016/j.numecd.2025.103933)

アントシアニンと脂質:メタ解析(PLOS ONE, 2025/DOI: 10.1371/journal.pone.0315504)ほか