阿部寛

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 TBS系日曜劇場「VIVANT」で、主人公の乃木(堺雅人)らへの裏切り疑惑から一転、謎の集団シンシーに食い込むダブルエージェントだったことが浮かび上がった公安刑事の野崎(阿部寛)。8月30日の第16話でその狙いが明かされた「核融合」は、高市早苗首相がかねて強い関心を示す肝いり案件だった。

 16話では、野崎の上司にあたる警視庁公安部の部長・佐野(坂東彌十郎)が、特別機密ファイルにあるエリシャ・ママドフなる人物に触れ、野崎への特命について語った。

 エリシャは核融合研究者で、核融合反応の安定した持続化技術を世界で初めて開発したとされていた。実用化は50年先ともいわれる核融合発電につながる技術で、世界のエネルギー事情を一変させる。特定の国が独占して覇権を築くことを恐れたエリシャは、新技術のデータを廃棄して行方をくらまし、世界のスパイらが捜しに動いた。乃木が属する自衛隊の別班も同様だった。

 後に新技術は別班や米国など西側がデマと断定し、エリシャも自殺したとされた。ところが、ここにきて生存説が流れ、中国やシンシーの関与が判明。技術が万が一、本物だったら大変だということで、国益を鑑みた公安は野崎を送り込んで探ることを決めた。その手段として、シンシーの別班メンバー拉致に手を貸す〝裏切り〟を働いたのだという--。

 11話でも登場した鉱物「フローライト」といい、経済安全保障を巡る壮大かつ精緻を極めた情報戦の構図が見えてきたこのドラマ。リアル世界で経済安保といえば、担当相も務めた高市首相の得意分野でもある。

 高市政権下で新たに策定された「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ」に、「フュージョンエネルギー」の記載がある。政府広報オンラインによると、フュージョンは核融合という意味。「水素などの軽い原子核が融合する時に発生するエネルギーが『フュージョンエネルギー』です」

 フュージョンエネルギーによる発電=核融合発電は、次世代のエネルギーと期待される。「地上の太陽」「燃料1グラムから石油8トン分のエネルギー」などといった言葉で語られてきた。

 高市首相は2023年2月の核融合戦略有識者会議に出席した際、「フュージョンエネルギーが実現すると、エネルギーの覇権が資源を有する者から技術を有する者へと移るイノベーションが起こる」と述べた。覇権の変動はまさに「VIVANT」で語られた未来世界。首相ならリアル世界で、核融合技術のためなら、これまた肝いりで発足させた国家情報局を動員するかも…。