国際観光都市・釜山で若者の流出が止まらない…首都・ソウルが全てを吸いとってしまう韓国の地方消滅現象

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釜山「何度も訪れたい都市」へ

最近の韓国で最も「ホットな(熱い)」都市を挙げるなら、釜山(プサン)を思い浮かべる人が少なくない。海を見下ろしながらコーヒーを味わえるカフェ、海岸沿いの崖に沿って続く村、華やかな摩天楼を誇る超高層マンション。かつて釜山を象徴していたチャガルチ市場海雲台(ヘウンデ)の観光イメージに加え、今では個性豊かなカフェや路地裏、華やかな夜景と海の風景がSNSを通じて世界へと広がっている。

こうした釜山の魅力に引き込まれ、釜山を繰り返し訪れる現象を、インターネット上では「釜山病」と呼ぶこともある。一度釜山を訪れた人々が、海やグルメ、独特な都市の雰囲気に魅了され、再び釜山を訪れるようになるという意味の一種の流行語だが、特に台湾などの中華圏や日本などで使われている。それほど最近の釜山は、韓国人だけでなく外国人にとっても「一度は行ってみたい都市」から「何度も訪れたい都市」へと変わりつつある。

韓国第二の都市であり、かつて「海と港の街」というイメージが強かった釜山が、今や韓国で最も注目される観光都市の一つとして浮上している。2026年上半期だけでも釜山を訪れた外国人観光客は242万629人に達し、前年同期比で43.9%増加した。釜山市が今年掲げた年間目標400万人の60.5%を、わずか6ヶ月で達成したことになる。この勢いが続けば、史上初めて年間500万人の外国人観光客を誘致する可能性もある。

このような変化を最も劇的に示しているスポットが「影島(ヨンド)」だ。釜山の新たなホットプレイスとして浮上した影島は、もともと観光地とは縁遠い工業地帯であった。釜山港に面した一帯には、造船所や船舶修理業者、船舶部品メーカーなどが密集しており、遠洋漁業が活況を呈していた時期には数多くの船が出入りしていた。しかし、産業の中心が大型造船所のある巨済(コジェ)や蔚山(ウルサン)などへ移動し、船舶修理業が衰退したことで、影島は活力を失っていった。そうした場所に最近、海を一望するカフェや文化空間が誕生し始めた。古い工業スペースや倉庫などを活用したカフェや複合文化空間が登場し、釜山市はこの一帯を「コーヒー特化通り」として整備した。

さらに、朝鮮戦争当時に釜山へ押し寄せた避難民が定着して形成された「白瀬文化村(ヒンヨウルムナマウル)」も、映画やドラマなどで紹介されたことで口コミが広がった。海岸の崖に沿って家々がひしめき合い、狭い路地裏が特徴的なこの古い住宅地は、SNSを通じて知られるようになり、海を見下ろすカフェや文化空間が次々とオープン、今では釜山を代表する観光名所となった。

観光客と入れ替わるように若者が流出

影島が観光のホットプレイスとして急浮上したことで、実際の商圏売上も釜山の平均を3倍以上上回る成長勢を見せているという統計も出ている。しかし、皮肉にも外部や海外から若い人々がドンドン押し寄せる一方で、影島の若者たちもドンドンこの地を離れている。2023年第1四半期から2024年第3四半期までに、40代未満の人口は流入(9095人)よりも流出(11165人)が多く、2070人の転出超過(純流出)を記録した。青年層の人口流出は、影島だけでなく釜山市全体が抱える最も深刻な問題である。2018年から2024年までの7年間で、釜山の20~39歳の青年の累積転出超過は6万1254人に達する。今年第2四半期にも、釜山の20~30代の青年層の純流出率は1.23%となり、前年同期よりもむしろ高まっているのが現状だ。

釜山の青年層の純流出(転出超過)は、その大半が就職や職業選択を目的とした移動である。観光・サービス業の雇用は増えているものの、若者が求める良質な雇用や産業の多様性は、首都圏(ソウル首都圏)に比べて大きく不足している。観光客がいくら増えたとしても、それが若者の定着につながる雇用を生み出しているわけではないという意味だ。

その結果、釜山の高齢化は全国のどの広域都市よりも速いスピードで進行している。2025年時点で釜山の65歳以上の人口は全体の24.5%を占め、韓国の8大特・広域市の中で最も高かった。観光客は増え、商圏は活気を取り戻しているものの、皮肉にも都市の未来を担う若い人口は流出し続けているのである。人口減少と高齢化が深刻なレベルに達したことで、釜山が「広域都市消滅の第1号」になりかねないという分析まで出ている。かつて人口400万人に迫った韓国第二の都市が、今や地方消滅の代表的な事例になろうとしているのだ。

政府や地方自治体も手をこまねいているわけではない。韓国政府は2022年から毎年1兆ウォン規模の「地方消滅対応基金」を投入しており、釜山市も青年の地域定着に向けて雇用・住居・起業などを支援する多様な政策を推進している。しかし、資金を支援し事業を創出するだけでは、若者を地域にとどまらせることは難しい。釜山がいくら奮闘したところで、この流れを単独で変えることは困難である。なぜなら、釜山をはじめとする地方都市消滅のより根本的な原因は、「首都圏集中」にあるからだ。

ソウルへの集中が

国連の最新の都市化統計をもとにOECD加盟国を比較した結果、2023年における韓国の首都圏人口の割合は43.3%に達し、OECD37カ国の平均(16.9%)の2倍を大きく上回る加盟国最高水準となった。「東京一極集中」が深刻とされる日本でさえ、総務省の統計によれば、昨年初めて東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の人口割合が30%を超えて過去最高を記録したが、韓国の首都圏集中はそんな日本よりも遥かに激しい。

韓国では、良質な雇用だけでなく、大学や教育施設、大病院や医療サービス、文化・レジャー施設にいたるまで、あらゆるインフラがソウルに集中している。企業と人がソウルとその周辺の首都圏に集まれば、さらに企業とインフラが首都圏に集まるという循環構造が形成される。公立機関の地方移転が推進されるたびに、労働組合の強い反発に遭い挫折を繰り返すのも、単に職場が移転するという問題だけではないからだ。子供の教育や医療、住居や生活環境まで考慮すると、首都圏を離れることは個人にとって小さくない負担となる。

結局、地方に人を残すためには、地方に補助金を分配するだけでは不十分なのだ。首都圏に行かずとも良質な職に就き、子供を教育し、必要な医療サービスを受けられる環境を整えなければならない。釜山のように観光競争力を備えた都市でさえ若者を引き留められていないという事実は、地方消滅が単に地方都市の魅力や観光資源の問題ではないことを物語っている。

実際、釜山を頻繁に行き来していると、数字以上に鮮明に実感できることがある。私は毎年、仕事で釜山を訪れる。訪れるたびに最新の超高層マンションが次々と建設され、若者で賑わう広安里(クァンアンリ)や海雲台(ヘウンデ)の不夜城は一段と華やかさを増しているという印象を受ける。しかし、その裏側を覗いてみると、華やかな外見とはあまりにもかけ離れた釜山の素顔が浮き彫りになる。2026年6月末時点で、釜山の未分譲住宅(売れ残りマンション)は8071戸に達し、全国最高水準となっている。白昼に都心で地下鉄に乗ると、目につく乗客の大半が高齢者だ。観光客を除けば、若い世代を見かけることすら稀なほどである。

昨年の釜山出張で出会ったあるタクシー運転手は、「釜山には老人と海、そして売れ残りのマンションしか残っていない」と自嘲気味に語った。だが今後、釜山を表現する言葉には「観光客」がもう一つ加わることになるかもしれない。老人と海、売れ残りのマンション、そして観光客。

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