活発な星形成が示す過去の合体 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した不規則銀河「Arp 263」
こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した不規則銀河「Arp 263」。しし座の方向、地球から約2500万光年先にあります。

無数の恒星が集まる銀河の中に、赤色で示された塵(ダスト)の豊富な雲が斑に広がっています。その雲のところどころには、青白い色の輝きに包まれた星団が分布しているのがわかります。
ちなみに、画像の最上部でひときわ明るく輝いているのは、はるか手前の天の川銀河に存在する恒星(BD+17 2217)です。Arp 263とは無関係で、たまたま同じ方向に見えています。
合体の痕跡を残す「特異銀河」
1784年に発見されたArp 263は、「NGC 3239」などの別名でも知られています。アメリカの天文学者Halton Arpが1966年にまとめた特異な形態を持つ銀河のカタログ「Atlas of Peculiar Galaxies(アープ・アトラス)」では、「不規則な塊(irregular clumps)」を持つ銀河のグループに分類されています。
また、2023年にはハッブル宇宙望遠鏡の観測データを使用したArp 263の画像が紹介されています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、Arp 263の特徴である塊状の構造は、濃いガス雲の合間に存在する星雲であることが判明しています。
Arp 263の不規則な姿は、過去に別の銀河と重力を介して相互作用し、合体した結果だと考えられています。通常であれば揃っているはずの恒星と水素ガスの分布の向きが食い違っていることや、ガスが大きく乱されたことで促されたとみられる活発な星形成がその証だと考えられています。
ただ、現在観測されているArp 263の近くには重力相互作用の相手となりそうな銀河は見当たりません。天文学者は、Arp 263と相互作用したのは合体して完全に取り込まれるほど小さな矮小銀河だった可能性などを指摘しています。

星々の誕生を学ぶための観測
この画像は、ウェッブ宇宙望遠鏡の観測装置「NIRCam(近赤外線カメラ)」で取得したデータを使って作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。
青色は若い星々の紫外線で電離した水素に対応しており、星形成領域の場所を示しています。画像右上に連なる星団は、Arp 263でも特に活発な星形成活動がみられる星雲へとつながっています。
赤色は多環芳香族炭化水素(ベンゼン環を2つ以上持つ化合物の総称、PAH)に対応しており、塵の分布を示しています。また、背景にはArp 263よりも遠い数億光年先の銀河も写っており、その一部は渦巻銀河であることもわかります。
ウェッブ宇宙望遠鏡によるArp 263の観測データは、星形成のサイクルと銀河におけるその進行をより深く理解するために活用される予定だということです。
冒頭の画像はESA/Webbから2026年8月27日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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