「私の体を見て、とは思えなかった」酒井若菜45歳が明かすグラビア全盛期の葛藤

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俳優で文筆家の酒井若菜が、芸能デビュー30周年を記念して写真集『ぴこぴこ。』(講談社刊)を7月1日に発売。台湾を舞台に、45歳になった酒井の自然体で穏やかな姿が収められている。

【写真】デビュー30周年記念写真集の中から厳選カットを公開

 

1996年に15歳で芸能界デビューした酒井。グラビアアイドルとして人気を博していたが、芸能活動をしていく中では葛藤を抱えていたという。今作について聞くとともに、当時の胸中を振り返ってもらった。(前後編の前編)

作品のテーマはありません

――芸能デビュー30周年という大きな節目を迎えて、13年ぶりに写真集を発売するに至ったきっかけは?

酒井若菜(以下、同) 30周年を迎えるにあたり、写真集以外にも、しばらく離れていたジャンルのお仕事をやってみようと考えながら活動していました。例えば、12~13年ぶりに舞台に出てみたり、14年ぶりにバラエティ番組のロケに出演してみたり。そのうちの一つが写真集を作るということでした。

――酒井さんはデビュー直後、グラビアアイドルとして人気を博していましたが、ある種、原点回帰のようなニュアンスがあったのでしょうか。

原点回帰のような感覚もありますし、一方でこれまでに出してきた写真集とは毛色が違う作品なんです。なので、また別の進み方をしているようにも感じています。過去を振り返りながらも、新しい方向に進んでいるような、相反する気持ちを同時に抱えている、とでも言いますか。

――そんな写真集のテーマを教えてください。

今作は写真家の佐内正史さんに撮影していただきましたが、いわゆるグラビアを専門とするカメラマンではない方にお願いをして、作品を作るということ自体が、面白い試みだったと自負しています。佐内さんの世界観に私が入るというのが、写真集として一番の見どころになっている感じがします。

一方で、今回の作品には明確なテーマはありません。芸能生活30周年を記念してはいるんですけど、強いメッセージ性やコンセプトは持たずに、ただただ、台湾を舞台にその場その場で撮ってもらった写真をまとめていくような感覚でした。

他の写真集に比べて引きのカットが多いですし、全体的に抜け感を大事にしました。読者の方にふわふわしながら最後のページを迎えてもらうような、そういう構成になっていると思います。

グラビアアイドルとしての葛藤

――当時、酒井さんはグラビアアイドルとして高い支持を集めていましたが、元々、俳優志望であったことを公言していました。当時、グラビア活動に対して、複雑な思いを抱かれることはあったのでしょうか。

ありました。“女優になりたい”という気持ちでこの世界に入りましたが、グラビアの活動が女優業までの必要なルートとはどうしても思えなかったからです。そういう意味で、すごく困惑していた気持ちがありました。

――名前が売れていくことにメリットはありつつも、“女優業と関係ないじゃないか”という葛藤を抱えていた?

そうですね。早く演技がしたいけれど、当時は毎日水着を着て仕事をしていましたから。加えて“グラビアアイドルの寿命は短い”などとも言われていましたし、私の中でも、“グラビアアイドルとしての旬はすぐに終わりが来る”という感覚は常にありました。

そういった中で、“グラビアアイドルとしての寿命を迎えた時にうまく女優業にシフトできるのかな”と悩んでいましたし、性格的に女性性を売りにするというか、肌を露出したりするのが、当時から得意ではなかったんです。

その一方で、私がもっと攻撃的に「私の体を見て」と訴えるような大胆なグラビアの撮り方をしていたら、多分そんなに人気が出なかったとも思うんです。

――というのは?

どこか“大人にやらされている感”が漂っていたと言いますか(笑)。多分、男性読者の心理からすると、“見ちゃダメなのかな”と感じるようなグラビアアイドルだったと思うんです。露出することに対して恥ずかしい気持ちもあったので、それは結果として良かったんだろうと思います。

変なところがバカ正直

――今回の写真集発売に際し、Instagramでは「元グラドル感、露出感、エロ感、をご想像されるかたには購入をおすすめしません」とはっきりと打ち出しました。どういった意図がありましたか。

 

 

 

 

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私を昔から応援してくださるファンの方々は、私が「グラビアを辞めます」と宣言した時から「頑張んな! きっと良い女優になれるよ!」などと応援してくださいました。他にも文筆家として本を出版するとなった時も「いいじゃん! これからも面白いと感じたことをやりなよ」みたいに、背中を押してくださる方が多かった。

グラビアを辞めるだなんて生意気」みたいな、ネガティブな意見を持たずに、私自身の進化を応援してくださったんです。少なくとも私の周囲では、当時としては珍しいほど前向きな反応だったように感じます。

その一方で、俗に言うグラビア感みたいなものを私に求めていた方も一定数はいたと思います。そういった方が今回の写真集を買ってくださった時、「水着少なくない?」とか「アップが少なくない?」などの感想を持つと思いました。

45歳の私に胸の谷間やグラビア感を求める人もなかなかいないかと思いますが、もしそういったものを期待されているのなら、価格も4000円近くしますし、期待に沿える作品ではないことを先にお伝えしたかったんです。

――世の中には期待感を高めて商売をする方もいますが、酒井さんはとても親切ですね。

親切なんですかね(笑)。変なところがバカ正直というか、商売下手なんです。ただ私の中で“本当に手に取ってほしい”と思う方は、これまでの私の活動を面白がってくれた人たち。“その方々だけに届けばいい”という気持ちで今作を出すことにしました。

健康にはお互い気をつけようね

――芸能生活30周年の酒井さんの表現を受け取って、応援してきたファンの方々に改めて伝えたいことがあればお願いします。

この取材を受ける前に、写真集のお渡し会を開催しましたが、「27年ぶりに会いに来ました」と声を声をかけてくださった方がいたんですね。それを聞いて「ちょっとこれまでと桁が違う」と思ったというか(笑)。仮に3年ぶりでも「久しぶり!」となるのに、「27年ぶりって何?」と感じました。

私はその言葉に感動しちゃったんです。グッとくるものがありました。昔から馴染みのファンの方が、もうすっかり白髪交じりになっていたり、それこそ私のファン同士で結婚してお子さんが生まれたご家族も来てくださいました。「9歳になりました」と言いながら、家族3人で駆けつけてくださったんですよ。ファンの方を通じて、歴史を感じられたことがたまらなくうれしかったんです。長く続けてきて良かったなって(笑)。

――良い話ですね。

とんでもないギフトをいただいた気持ちでした。

この30年の苦労……別に特別、苦労話をしたいわけではないですけど(笑)、当然苦労したこともあって、もちろんファンの方々にもいろんなことが起こったと思います。

子どもが生まれたり、当時、学生だった人がもしかしたら仕事を失ったり…みんなの人生の立ち位置がちょっとずつ変わって、同じように30年という歴史を刻んだわけですよね。そんな中で今日という日を迎えられた、この感慨深さは、どんな映画の賞とか、俳優としての栄誉よりも大きなものだったんじゃないかなと思いました。

もっとみんなと話したかった気持ちもありますけど、“お互い生きていればまた会えるよね”という感じで、イベントは終わりました。だから伝えたいことと言えば……もう本当に足腰痛いけれどお互い頑張ろうねってことです(笑)。

――酒井さんも痛いんですか?

足腰、痛いですよ(笑)。もう本当に健康第一。健康だけにはお互い気を付けようね、ってことを1番に伝えたいです。

取材・文/中山洋平 撮影/藤木裕之

酒井若菜 写真集 『ぴこぴこ。』

酒井若菜  佐内正史

3960円(税込)

ISBN: 978-4065441923

俳優・酒井若菜の芸能デビュー30周年記念写真集。
台湾を舞台に、あたたかな風が吹く田舎道、湖を見下ろすラグジュアリーホテルの一室、人々が行き交う都心の交差点など、豊かな風景に身を委ねるようにして写した、飾らない「酒井若菜の今」。撮影を手がけたのは、写真家・佐内正史。酒井本人の強い希望によりこのタッグが実現した。
1990年代後半から2000年代にかけ多くの雑誌で表紙を飾り一世を風靡したのち、俳優、作家としての道を切り拓き時を経た2026年。大人の女性としての穏やかな輝きをたたえた“永遠のミューズ”の素顔にふれられる一冊となっている。