〈スザンヌ39歳の現在〉築70年の旅館再生に「自己資金1億5000万円」…“おバカタレント”から大学卒業、母になって始めた「学び直し」

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現在、熊本市内で旅館『KAWACHI BASE-龍栄荘-』を運営しているタレントのスザンヌ。築70年の老舗旅館を再生するため、約1億5000万円の自己資金を投じたという。一方、かつては『クイズ!ヘキサゴンII』で“おバカタレント”としてブレイクした彼女だが、母になってから高校に再入学し、大学にも進学。旅館経営から“大人の学び直し”まで、挑戦を続ける理由を聞いた。(前後編の後編)

【画像】スザンヌさんが運営している旅館『KAWACHI BASE-龍栄荘-』

1日2組限定、食事には熊本の食材…スザンヌが手掛ける旅館の現在

――スザンヌさんが運営されている「KAWACHI BASE-龍栄荘-」は、昨年2月に宿泊サービスが開始し、旅館としては現在2年目になります。運営状況はいかがですか?

スザンヌ(以下、同) ありがたいことに、お客様も少しずつ増えていて、オープンからまだ1年半ほどですが、もう4回目、5回目とリピートしてくださる方もいらっしゃいます。もともと「また来たい」と思ってもらえる旅館にしたかったので、それはすごくうれしいですね。

1日2組限定で、のんびりくつろいでいただけるところも、この旅館の良さかなと思っています。「ゆっくり過ごせてよかった」と言ってくださるお客様も多いです。

食事も、熊本の「あか牛」や馬刺し、魚やアワビなど、熊本の食材にこだわっているので、「おいしかった」「お腹いっぱいになった」と喜んでもらえると、熊本の魅力をちゃんと伝えられた気がしてうれしいです。

――そんな「KAWACHI BASE-龍栄荘-」をオープンしたきっかけは?

熊本で何かしらのお店を持ちたいという思いがずっとあって、いろいろな物件を見ていたときに、たまたま今の旅館を紹介してもらったんです。

旅館のある河内町に行ったら、綺麗な海が近くにあって、名産品のミカンの畑も広がっていて。熊本駅から車で30~40分で行けるのに、こんなに景色がきれいで、旅行気分をたっぷり味わえる場所があるのかと驚いて、すっかり河内町にホレ込んでしまったんです。

現在の「KAWACHI BASE-龍栄荘-」は、もともと「龍栄荘」という旅館で、数年前に閉業していたんです。当時のオーナーさんから、後継者がいなくて泣く泣く閉業したことを直接お聞きしたり、地域の方から旅館が営業していた頃の思い出話を聞いたりしていくうちに、地元の方々の想いを引き継いで、この旅館をもう一度再生したいなと思うようになりました。

シロアリ駆除にひとつ200万円の消火設備…想定以上のリフォーム費用

――築70年の建物ということもあり、リフォームにはかなりの費用がかかったそうですね。東京のご自宅を売却した資金とこれまでの芸能活動での貯蓄を合わせた1億5000万円ほどの自己資金を投じたと聞きました。

そうですね。物件自体は2400万円で購入したんですが、築70年ということもあって、シロアリ駆除や漏水・漏電の対策など、いろいろな工事が必要になって。リフォーム費用は予想以上にかかってしまいました。

当時の私は借金をすることに抵抗があったので、最初から「自分の資金でできるところまでやろう」と決めていたんです。

ただ、リフォームを始めてからマネーセミナーに参加したり、いろいろな方から資金面のアドバイスを受けたりして、「もしかしたら銀行からお金を借りたほうがよかったのかな……」と思うこともありました。

それでも、失敗したとしても、自分のお金で、自分の意志でやったことなら悔いは残らないだろうと思っていたので、失敗する怖さはあまりなかったですね。

――実際にリフォームをする中で驚いたことや苦労したことは?

旅館を営業するには防災上の決まりもいろいろあって、例えば敷地内に設置しなければならない消火設備があるんです。その設備がひとつ200万円くらいして、3つそろえるだけで一気に600万円かかってしまって。

そんなふうに、普段の生活では考えられないような“高級すぎるお買い物”の連続で、だんだん自分でも何にいくら使っているのかわからなくなっていましたね(笑)。

そうした中、工事業者の方にも本当に頑張っていただき、オープン直前の深夜まで作業してくださって、やっと完成したんです。完成したての旅館を改めて見たときは、すごく感動したのを覚えています。

「ヘキサゴン」でブレイク、“おバカタレント”から大学卒業まで

――スザンヌさんといえば、2007年にフジテレビの番組『クイズ!ヘキサゴンII』にご出演されたことをきっかけに注目を浴びましたが、当時の心境はどんなものでしたか?

芸能活動は中学生の頃に始め、熊本や福岡を中心に活動していました。その後、19歳のときに上京しました。自分のなかでは、20歳になってから数年のうちに結果が出なかったら地元に帰ろうと思っていたんです。

でも、上京して半年くらいで『ヘキサゴン』のオーディションに呼んでいただいて、合格したんです。番組に出演し始めると、1~2週間くらいで街を歩いていて気づかれることが増えていって。

それまでは誰にも気づかれなかったので、すごく不思議な感覚でしたね。そこで一気に自分の世界が変わったといいますか、なんとなく「これから忙しくなるのかな」って感じていました。

―― 一躍ブレイクしてからは、かなり忙しい日々が続いたと思います。当時はどれくらい忙しかったのでしょうか?

とにかくずっとお休みの日がなくて、収録中でも眠くなってしまうことが多かったです。

そういうときは、ポケットのある衣装なら爪ようじを入れておいて、眠気が襲ってきたら太ももに刺して、無理やり自分を起こしていましたね(笑)。

――当時いわゆる“おバカタレント”として注目を浴びたことに違和感を抱くことはなかったですか?

当時は本当に勉強ができなかったので、「まあ、そうだよな」っていう感じで、特に抵抗なく受け入れていました(笑)。ほかのメンバーも同じような感じだったと思います。

子どもと一緒に始めた“大人の学び直し”

――その後、高校に再入学し、大学にも進学されています。改めて勉強しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

子どもが生まれてから、少し意識が変わったんです。今ってネットでなんでも調べられるじゃないですか。いつか「『勉強しなさい』って言ってるママが、勉強してなかったじゃん」ってバレるなと思って(笑)。

ちょうど息子が小学1年生の頃で、宿題も多いし、まだ勉強の仕方もよくわかっていないのに、「勉強しなさい」って言うだけなのもかわいそうだなと思ったんです。それで「じゃあ、ママも一緒に勉強しよう」って。

ちょうどコロナ禍で、以前中退した高校の授業をオンラインで受けられるようになったこともあって、再入学を決めました。そこから息子と一緒に勉強する生活が始まって、その後は大学にも進学しました。

今では息子に「計画的にやっておかないと、後でキツいよ!」って、自分の経験をもとに言えるようになりましたね(笑)。

――実際、改めて勉強してみて、いかがでしたか?

大人になってから勉強してみると、「なんで高校時代にこんな楽しい授業を真剣に聞かなかったんだろう」って思いました(笑)。

大学では、息子とのほうが年齢が近いような子たちと一緒に学ぶことも多くて。いろいろ話していると、若くてもすごくしっかりした考えを持っている子もいて、「年齢じゃないんだな」って教えてもらいました。勉強以外の部分でも学ぶことがたくさんあって、本当に行ってよかったと思っています。

――現在39歳のスザンヌさんですが、これから40代に突入するなかで、今後の目標や理想の自分像などはありますか?

旅館に関してもですが、とにかく自分がワクワクして楽しいと思えることを長く続けていきたいですね。

もうすでに今の段階でワクワク度は90%くらいかな。これからもたくさん新しいプロジェクトを始めたり、たくさんの人たちと出会っていったりすると思いますので、いまからすごく楽しみです!

≪前編を読む『熊本移住12年目のスザンヌが語る当時の震災、子育て、そして旅館事業へのチャレンジ「食器などが散乱して、ぐちゃぐちゃで…」』≫

(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)