【木田 トウセイ】またも人材が流出……? フジが生んだ「天才脚本家」がTBSでドラマを書いたワケ

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稀代の演技派女優・蒼井優が18年ぶりに地上波連ドラの主演を務め、『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』で知られる新進気鋭の脚本家・生方美久が脚本を手掛けることもあって、放送開始前から大きく注目されていたドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系、金曜午後10時〜)。

夏クールの連続ドラマで、『VIVANT』(TBS系、日曜午後9時〜)以上に世間を騒がせている作品は同作かもしれない。

評判は数字にも表れている。第1話の無料配信再生数が347万回を超え、TBSの金曜ドラマ枠の歴代最高を更新。第6話は407万再生にまで上がり、第1話から第6話までの累計再生数は2000万回を突破している。

また、世帯視聴率も初回6.9%から第7話で7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)までジワジワ上昇中。配信視聴やSNSでの評判を聞きつけた視聴者がリアルタイム視聴に移行する、昨今の業界では理想とされるパターンを辿っていると言えるだろう。

前編『フジが生んだ「天才脚本家」がTBSで大暴れ…! 『Tシャツが乾くまで』が面白すぎる理由』では、同作の魅力をテレビ業界関係者に語ってもらった。

本記事では、フジで活躍した脚本家がTBSでドラマを書いたワケと、フジドラマが直面する深刻な人材難について、関係者が語ります。

脚本家がフジからTBSに引き抜かれた理由

前編記事で、同作の脚本を担当する生方美久を「進化のフェーズに入っている」と絶賛した、深夜ドラマや舞台脚本を手掛ける女性脚本家・D氏はこう話す。

「これまでの生方さんは、キャラクターの関係性や気持ちの変化をジワジワと見せていくことが上手でしたが、ストーリーの縦軸にそこまで惹きがなく、スローテンポのものが多かった。

だけど、同作は先の読めない考察的な展開や謎を散りばめることで、視聴意欲を継続させるドラマになっている。セリフの巧みさに加えて、予測不能な展開を作るテクニックも習得されたわけですから、誰も太刀打ちできない作家になっていくでしょう」

生方は「フジテレビヤングシナリオ大賞」で大賞を受賞し、フジテレビ系の『silent』で脚本家として注目された。その後担当した『いちばんすきな花』『海のはじまり』もフジテレビのドラマだった。

それなのに、今回TBSで作品を書き始めたのは、やはり一連のフジテレビ問題が関与しているのか?

本作がヒットするにつれ、SNSでは「またフジがTBSに才能を奪われた」「生方さんのドラマをTBSで見られるとは思わなかった」といった声も目立つようになった。

制作会社でディレクターを務めるE氏はこの件について語る。

「確かにフジテレビは、若い作家にオリジナルドラマを任せる機会が極めて少ない。さらに昨今は、制作費や脚本家へのギャランティが低いことも問題視されている。

しかしながら、今回生方さんがTBSで同作を書いたのはフジが切り捨てたわけでも、本人がイヤで逃げたわけでもないですよ。生方さん自身が今後のキャリアを考え、異なる局のプロデューサーや演出家と組んでみたいという思いがあったからだそうです」

フジは作家を育て上げるプロデューサーが不在に

ただ、フジテレビのドラマ制作部の力が弱まっていることに変わりはない。前出のE氏は続ける。

「ここ数年でフジテレビのドラマプロデューサーが続々と退社したことで、作家を抱え込んで成長させたいと思う熱いタイプの社員が減っているようです。

ひと昔であれば、坂元裕二さんや野島伸司さんといった作家を新人から育て上げる土壌がありましたが、今のプロデューサーは数字に追われてしまっており、その余裕がないと耳にします。今後もフジのシナリオコンクール受賞者が他局のドラマを書くことは増えるかもしれませんね」

『Tシャツが乾くまで』はどこまでヒットするのか

『Tシャツが乾くまで』は、7話で充とあずさの秘密が明らかになったことで、今後どのようにストーリーが進展していくのかが全く分からなくなった。

バス事故の裏で何があったのかという謎が明かされたことで、視聴者の関心が離れないようにするには、さらなる波乱が必要になっていくだろう。

しかし、進化を続ける脚本家・生方美久がここで展開を落ち着かせるはずがない――。序盤話以上にSNSで賛否両論が盛り上がる展開があれば、配信再生回数の記録更新はもちろん、視聴率10%も夢ではないはずだ。

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