【田矢 信二】「増量キャンペーン」ブームで逆にピンチ…”ひとり負け”に陥っているコンビニの名前

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大手3社で“ひとり負け”になっているコンビニは…

近年、コンビニエンスストア各社で空前の「増量キャンペーン」ブームが巻き起こっている。単なる“値下げ”ではなく、価格はそのままに内容量を大幅に増やした商品を展開。ビジュアル的にわかりやすくお得感を打ち出すことで、消費者の関心を集めているようだ。

直近の事例では、増量キャンペーンの先駆けとして知られるファミリーマートが、今年8月4日より「お値段そのまま おかわり45%増量作戦」キャンペーンを全国約1万6400店舗で開催。同社の創立45周年を記念する形で“45%増量”と銘打った本キャンペーンは今年2回目の実施となり、定番の「ファミチキ」をはじめとして、週替わりで増量商品が棚に並ぶなどして、話題を集めている。

一方、大手3社であるセブン-イレブンローソンも負けじと増量キャンペーンに舵を切っている。今年5月にはセブン-イレブンが創業感謝祭として人気商品を値段そのままで50%以上増量した「感謝盛り」シリーズを販売。6月には、ローソンは創業51周年のタイミング(6月)で「超ハッピーすぎ!チャレンジ」を開催した。

各社サイトを見る限り、こうした増量キャンペーンはファミリーマートが2021年に、次いでローソンは2023年、セブン-イレブンは2024年から実施を開始しており、今ではすっかり3社とも“定番のキャンペーン”として恩恵を受けているように思える。

ところが、だ。専門家によれば、この中で唯一“ひとり負け”に陥っているコンビニがあるというのだ。

「他の2社と比べて“遊び”が足りない」

業界歴25年のコンビニ研究家、田矢信二氏はこう指摘する。

「増量キャンペーンがコンビニ各社の売上につながる“起爆剤”になっていることは間違いありません。ただその中でも明暗がはっきり出てきているのも事実。ファミマとローソンは勢いがあるのですが、セブンは頭打ちと言いますか、後れを取っていると感じます」

いったい、どういうことなのか。田矢氏が続ける。

「同じ増量キャンペーンでも、それぞれ打ち出し方に違いがあります。たとえばファミマは広告戦略に特化しており、ローソンは商品のビジュアル面などでエッジが効いています。一般的に増量キャンペーンでは万人向けではなく、一部の消費者に刺さる商品が求められます。

もちろん振り切りすぎると全体のお客さんが減ってしまうのでバランス感覚も重要ですが、ある種の“遊び”が必要なんです。その点でセブンはどうかというと、優等生的と言いますか、売り切れなどの在庫リスクを抑えること重視してか、どうも基本商品をブラッシュアップしたものばかり。『他の2社と比べて遊びが足りない』というのが個人的な見解です」

鈴木敏文会長が亡くなった影響も…

後手後手の状況は数字にも表れつつある。今年4月に報じられた、3社の前期(2026年2月)業績を「加盟店利益」で見ると、2期連続で減少となったセブン-イレブンとは対照的に、ファミリーマートは5年連続増加、ローソンも7年連続増加を示している。株式会社セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長も会見で「非常に大きい課題で、責任を感じている」と、自社の苦戦ぶりを認めていた。

しばらくコンビニ業界で増量キャンペーンのブームが続くとして、セブン-イレブンが今後挽回することはあるのだろうか。前出の田矢氏にそう問うと、「個人的にはまだまだ懸念点がある」と言う。

「どうもここ最近、セブン-イレブンの商品開発の仕方が“乱雑”になった気がします。商品点数は競合他社を圧倒しているのですが、個々の内容が微妙と言いますか……。スーパーマーケットなどとは異なり、コンビニはあえて商品の幅を広げず、点数を絞り込んでブラッシュアップしていくのが本来の在り方ですから、今の方向性に疑問を感じます。

こうしたセブン-イレブンの“ブレ”みたいなものは、今年5月にセブン&アイ・ホールディングス元会長の鈴木敏文さんが亡くなったことも影響しているかもしれません。生前『そこまで求心力はない』と言われつつも、やはり組織の支柱的な存在が消えたことで、まとまりが失われたように感じます」

ひとり後れを取るセブン-イレブン。今後の挽回に期待したい。

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