【甲子園】智弁和歌山・松本虎太郎が魂込めた代打バント 中谷仁監督「あれで逆転が見えた」…椎間板ヘルニアで主将交代を申し出たリーダーが涙の胴上げ「最高の仲間と優勝できて良かった」
◆第108回全国高校野球選手権大会第15日 ▽決勝 智弁和歌山4―3健大高崎(22日・甲子園)
思いのこもったバントだった。1点を追う8回無死一、二塁、智弁和歌山の代打・松本虎太郎主将(3年)が初球を三塁方向に転がした。「あれで逆転が見えた。魂のこもった素晴らしいバント」と中谷監督が絶賛。3月のキャプテン辞任騒動、夏の大会直前の腰の手術を乗り越えた男が逆転Vの陰のヒーローだった。
ナインの手で胴上げされた松本の目から熱いものが流れた。1年夏からレギュラーを勝ち取ったが、最終学年は苦難の連続だった。3月は調子が上がらず、発言力の低下に悩み、中谷監督に主将交代を申し出た。「このチームの中で一番、智弁愛が強く入ってきたのが虎太郎。死に物狂いでお前がやるしかないから頑張れ」と引き留められ、ナインの総意も得てくれた。
4月から痛めた腰の状態は限界に達し、6月30日に椎間板ヘルニア手術を受けた。指揮官から「甲子園ではお前が優勝旗を持っている姿を想像している」と励まされる中、懸命なリハビリで驚異的な回復。医者の診断では間に合わないはずだったが、和歌山大会準決勝の代打で早くも復帰した。「この舞台に戻ってこれて、最高の仲間と優勝できて良かった」。深紅の優勝旗を持つ背番号10の背中は最高に頼もしかった。(島尾 浩一郎)
