不調から抜け出せないベッツ photo/Getty Images

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MLBで「花形ポジション」とされてきた遊撃手に、大きな異変が起きている。米スポーツ専門誌『Sports Illustrated』のトム・ヴェルドゥッチ記者が、今季の遊撃手を取り巻く厳しい現状を分析。故障や加齢に加え、実績のある選手たちの相次ぐ不振によって、ポジションの勢力図が大きく変わっていると指摘した。

今季のMLB全体で、遊撃手の平均打率は.244。これは1975年以来、最も低い数字だという。OPS+も95にとどまり、捕手の91に次いで野手のポジション別では低い数字となっている。

さらに深刻なのが、30歳以上の遊撃手だ。今季、規定打席に到達した30歳以上の遊撃手で、OPS+が100以上、つまりリーグ平均以上の打撃成績を残している選手は1人もいない。この現象は過去25年間で2013年、2019年に続いて3度目となる。

昨季は30代の遊撃手8人が好成績を残していたが、今季はその多くが苦しんでいる。

33歳のムーキー・ベッツ(ドジャース)は37試合を欠場し、打率.236、出塁率.292、OPS.701と、いずれもキャリア最低の数字。特に速球への対応に苦しみ、フォーシームに対する打率は.178となっている。

同じく33歳のザンダー・ボガーツ(パドレス)も打率.221と自己ワースト。カルロス・コレア(アストロズ)は三塁にコンバートされたうえ、足首の腱を負傷して32試合の出場にとどまっている。

マリナーズのJ・P・クロフォードも31歳で三塁へ移り、左手首の炎症に悩まされながら打率.212と低迷。フランシスコ・リンドーア(メッツ)は故障の影響で66試合の出場にとどまり、打率.244、盗塁3、さらにスプリントスピードもキャリア最低となっている。

このほか、レッドソックスのトレバー・ストーリーは41試合の出場で打率.206、カブスのダンズビー・スワンソンも打率.216、出塁率.300とキャリア最低の数字。フィリーズのトレア・ターナーも打率.247、出塁率.298と苦しんでいる。

さらにコーリー・シーガー、ウィリー・アダメス、ガナー・ヘンダーソンらも本来のパフォーマンスを発揮できておらず、遊撃手をめぐる「世代交代」が一気に進んでいる。

実際、ヤンキースはジョージ・ロンバードJr、ブレーブスはジム・ジャービス、タイガースはケビン・マクゴニグル、ブルワーズは健康であればクーパー・プラットと、優勝争いを繰り広げるチームでも若手を遊撃手として起用する動きが広がっている。

遊撃手はもともと、広い守備範囲と高い身体能力が求められるため、フィールド上でも特に若さが重要視されるポジションだった。近年はさらにゲームのスピードが上がり、経験豊富なベテランよりも若い選手が優位に立つ傾向が強まっているという。

かつては「遊撃手=チームの花形」として長期契約を結ぶスターが相次いだが、30代に入った選手たちの故障や急激なパフォーマンス低下を受け、状況は変わりつつある。今季のMLBでは、遊撃手をめぐる世代交代が一気に加速している。