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介護歴30年のプロ・藤原清明さんは「介護認定を受ける以前の『介護未満』の時期は、介護保険サービスを使えない。自力でなんとかしなければならず、さまざまな困りごとに直面する」と話します。「自立しているけどちょっと心配」な親の暮らしを、どのように守っていけば良いのでしょうか。そこで今回は藤原さんの著書『自宅で暮らしたい「介護未満」の親の支え方』より一部を抜粋し、親が自宅で安全・安心に過ごすためのヒントをご紹介します。

【書影】この道30年の介護のプロが、親が自宅で安全・安心に過ごすためのヒントの数々を紹介。藤原清明『自宅で暮らしたい「介護未満」の親の支え方』

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同じメガネをずっとかけている方、今の視力とフィットしている?

今は手軽にリーズナブルなメガネを作れる時代になりましたが、かつてメガネといえば高級品でした。その名残なのでしょうか? 一度作ったメガネを、ずっと使い続けている高齢者が多いのです。

しかし、老化による視力低下は必ず起きているはず。本人の自覚がないまま、見えづらくなっているかもしれません。

目がよく見えないと、テレビや映画鑑賞、読書がしんどくなったり、好きだったはずの手芸や編物から遠ざかったり、時刻表が読めなくなって外出がおっくうになったり……。こんなふうに、視力低下でさまざまな「楽しみ」が奪われるのは大問題。意欲低下や閉じこもりになると、認知症リスクも上がってしまいます。

ぜひ、定期的にメガネを作り直してください。

また、メガネを作り直すと同時に、眼科を受診しましょう。単純な老化現象で見えにくいのか、別の要因があるのか、検査しておくことが大切です。

早期発見、早期治療が肝心

60代で約8割、70代になると8〜9割に増え、80歳以上はほぼ全員が患うとされる白内障。同じく加齢とともに発症率が上がる緑内障も、本人が知らぬ間に進行するケースが多いそうです。

さらに、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などが潜んでいたら一大事。

いずれの疾患も、早期発見と早期治療が肝心です。高齢者対象の健診でも、眼科検査を行う市区町村もあるので、積極的に受診してください。

「年だから仕方ないのよ」「老人なのだから、目が見えにくくなっても普通」。そんな思い込みで腰が重くなっている親もいるでしょう。ぜひ「久しぶりにメガネを作りに行こうよ!」と、積極的に声をかけてあげてくださいね。

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「メガネ作りに行こう」の声掛け&眼科健診

聞こえにくい原因は年のせいじゃなく耳垢のせいかも!?

お年寄りといえば、耳が遠くても当たり前と思っていませんか? 確かに年とともに耳が聞こえにくくなる「加齢性難聴」は、避けがたい老化現象のひとつです。

子どもや10代の若者には聞こえる、蚊の羽音のようなモスキート音は、20代になると多くの人が聞こえなくなります。つまり、20代という若い段階から、聴力低下はスタートしているのです。


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やがて70〜80代になると、モスキート音のような高い周波数の音だけでなく、ほとんどの音域が聞こえにくくなります。

その事実を知っていてもなお、介護のプロは疑います。「このおじいちゃんの耳が遠いのは、加齢性難聴じゃないかも?」。というのも、聞こえにくさの原因が、たまりにたまった耳垢であることが、往々にしてあるからなのです。

実際に私の経験からも、一昔前までは耳垢がたまっている方が多く見られました。特に男性が多かった印象ですね。

ご高齢になるとどうしても耳掃除など、自らの身の回りのケアがおろそかになりがちです。「最近、親の耳が遠くなった」と感じたら、耳の状態を確認してみてください。補聴器を利用しているのなら、電池切れもチェックしましょう。

耳の入り口から鼓膜まで、耳垢でふさがれた状態を「耳垢栓塞」といい、難聴を引き起こすことが知られています。

アメリカの高齢者向け施設での調査では、60%以上の入所者に耳垢栓塞が認められたとか。その後、耳垢栓塞を取ると、聴力だけでなく認知機能も改善されたそうです。耳の聞こえは、認知症にも深く関わっているのですね。

耳垢栓塞になると、家で取り除くことは困難。そんな事態にならないよう、定期的に耳鼻科に行き、耳の機能チェックと耳掃除をしてもらうと安心ですね。

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老化と決めつけず、耳垢&補聴器チェック!

長く使っている入れ歯は現在の状態を歯科で確認しよう

私は30年にわたり、高齢者の介護に携わっていますが、80代にもなるとほぼ全員が入れ歯をしていらっしゃる印象です。

デイサービスや高齢者施設では、お食事の後に入れ歯をお預かりして、ていねいに歯ブラシで汚れを落とし、洗浄するのが大事な仕事になっています。

お口の中の状態は年齢とともに変わり、徐々に歯茎は痩せていきます。長く使っている入れ歯が合わなくなるのは当然です。数年単位で入れ歯の作り直しが推奨されているのは、そのためでしょう。

しかし、費用や通院の手間もあり、長期間、同じ入れ歯を使っている方も少なくありません。合わない入れ歯を使い続けると、うまく噛めない・痛みがある・外れやすいなど、さまざまな弊害が現れて高齢者の方をてこずらせます。

入れ歯の不具合でよく噛めないと、食べる意欲がそがれ、低栄養になるのも大問題です。

食べることばかりでなく、噛み合わせがうまくいかないことが原因で、肩こりやめまいなど、別の不調を引き起こすことも。上手にしゃべれなくなり、他者とのコミュニケーションを避けて閉鎖的になるのも見過ごせない点でしょう。

まだまだ、問題があります。顎関節症や誤嚥性肺炎を引き起こし、認知症にまで影響が……。入れ歯の不調で噛む力が低下すると、脳への刺激が減り、認知症リスクが約2倍に跳ね上がるのです!(日本顎咬合学会調べ)

つまり、合わない入れ歯を放置しておくと、百害あって一利なし。

逆に言えば、きちんとフィットする入れ歯を装着すると、よいことしかありません。痛みもなくよく噛めて、栄養不足や誤嚥性肺炎を回避できるだけでなく、認知症を遠ざける効果まで。だから、「入れ歯を直したら、食欲が戻って元気になった!」「よくしゃべるようになって、明るくなったみたい!」となるのも当然なのです。

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10年以上前の入れ歯はすぐに歯科で調整!

※本稿は、『自宅で暮らしたい「介護未満」の親の支え方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。