商品も収益もまだ存在しない企業に、数兆円規模ともいわれる評価額がつく。そんな逆転現象が、ニューラリンクという脳とコンピューターをつなぐ技術を開発する企業を舞台に起きているのだ。実業家のマイキー佐野氏は、医療機器としての承認さえ得ていない段階でありながら、非公開株の取引価格が跳ね上がり続けているこの企業の実態を解説する。
 
ニューラリンクは、神経科学やロボット工学、半導体設計に携わる専門家らが集まって設立された企業だ。佐野氏によれば、掲げるミッションは二段階に分かれており、当初は脊髄損傷や難病、脳卒中の後遺症などで体を動かせない人が思考だけで機器を操作できるようにする医療支援を目標とする。将来的には人間の脳と人工知能を直接つなぐという、より大きな構想も語られているという。開発の中心にあるのは硬貨ほどの大きさの小型デバイスを脳に埋め込み、極細の糸を通じて電気信号を読み取る仕組みで、埋め込みには専用のロボットが用いられ、血管を避けながら精密な作業を担う。すでに規制当局から優先的な審査対象としての指定を受けており、思考だけで文字を入力したり、失われた視覚を部分的に取り戻したりする複数の技術開発が進められているという。
 
一方で、体内に長期間留め置く素材の耐久性や、脳が異物とみなして起こす拒絶反応、動物実験を巡る規制当局からの指摘、思考データという新しいプライバシー領域の保護など、実用化までに越えるべき課題は少なくないと佐野氏は指摘する。それでも著名な投資会社やシリコンバレーの有力者たちが名を連ね、非公開株には通常の水準を大きく超えるプレミアムが付いているのが現状だ。佐野氏は、この価格形成の背景には非公開株ならではの流通量の少なさと、創業者本人が持つ求心力が絡み合っていると語る。

一般の個人がどこまでこの熱狂に加わる余地があるのかも気になるところだ。この熱狂がどこまで技術の実力に基づき、どこまで創業者個人への期待に支えられているのか、そのバランスをどう読み解くかによって投資対象としての見方は大きく変わってくるはずだ。医療分野や先端テクノロジーへの投資に関心がある人にとって、著名起業家の看板が評価額をどう動かすのかを見極める大きなヒントになる。

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マイキー佐野です 経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど 様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます~ 2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始 現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営