木原誠二衆院議員(C)日刊ゲンダイ

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【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】

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「(夫の安田)種雄君を刺しちゃった」

 妻のX子が歯の根をガタガタと震わせ、当時“親密”だったYに電話をしてきたのは、2006年4月9日の夜9時ごろだった。

 Yの証言によると、「家にある軍手とバスタオルを黒色のリュックに詰め、紺色のセダンに乗り込みました」。深夜0時前後に彼女の家に着くと、1階で彼女は待っていて、こういった。

「種雄君から、『これで刺せるんだったら刺してみろ』と言われてナイフを握らされたの」

 彼女は、ナイフの柄には両面テープが巻かれていたので、「指紋が付いた」かもしれないと心配していた。Yが現場である2階に上がろうとすると、X子の長袖ニットの左肩に血痕が付いていたため、「着替えたほうがいい」といった。

 2階には上半身血だらけの種雄(享年28)が横たわり、30センチ弱の鋭利なカッターナイフが転がっていた。Yは軍手をつけ、両面テープを剥がし、ポケットに入れ、階段にも血痕があったのでバスタオルで拭いた。

 YはX子に、「朝起きたら救急車を呼び、『起きたら死んでいた』『何も知らなかった』といえ」と念を押すと、彼女は「分かった」と答えた。

 その後、2人は、2階の彼女の寝室へ行き、寝ている子供たちの横で「束の間、彼女と抱き合ったのです」(Y)。

 だが、種雄の父親が、借りた車を返しに来て息子の死体を発見し、警察に通報。Yは慌てて家を抜け出して駐車場に着くと、パトカーのサイレンが聞こえてきた。

 週刊文春(8月13・20日号)は、3年前から16回にわたって連続追及してきた、「木原誠二・元副長官の妻(X子)の前夫怪死事件」の“真相”を唯一知るYの初告白を掲載した。全10ページ。文春の執念が行間からにじみ出るスクープである。

 だが、Yの告白を読んでも、まだ解けない謎はある。X子と夫の仲は深刻で、彼女はYと不倫をしていた。夫婦双方に十分な“殺意”があったはずで、口論の果てにX子が“誤って”夫を刺したという可能性もあったのに、なぜ警察は、「自殺。事件性なし」として、捜査を終わらせてしまったのか。

 事件から12年後の2018年、警視庁大塚警察署の女性刑事らが、ナイフへの血の付き方に着目し、自殺にしては不自然だと再捜査を始めた。X子は銀座のバーで知り合い親しくなった木原自民党衆院議員と再婚していた。

■タクシーのドライブレコーダーには…

 彼女は取り調べに「わからない」「記憶にない」を繰り返した。捜査員は木原にも面会した。3度目の覚醒剤取締法違反で宮崎刑務所に収監中のYに何度も面会し、今回の「告白」と同じ内容を聞き出していた。

 木原とX子が同乗したタクシーのドライブレコーダーを手に入れ、木原が「俺が手を回しておいたから心配すんな。刑事の話には乗るなよ」と“指示”していた会話を確認。

 木原は捜査幹部に、「臨時国会が始まるまでに聴取を終わらせろ。始まると(前夫との間にできた2人の)子どもの面倒が見られない」と要求。10月下旬、突然、管理官から「捜査終了」が告げられた。

 政治的圧力に警視庁は屈したのか? 捜査員たちは、「相手が“雲の上の人”だから手が出せない」と嘆いたという。

 まだ解けない謎は、X子が夫の首を刺したのなら、大量の血を浴びているはずで、「左肩に血痕」程度で済むはずはない。X子の聴取を何度も担当した警視庁捜査1課の元捜査官・佐藤誠は、「X子の衣服に付着していた血痕等から、種雄さんを刺したのはX子ではなく、実行犯は別に存在する可能性が高い」といっている。

 種雄の遺族は今年3月、X子に損害賠償を求める民事訴訟を起こし、X子側も弁護士を立てて係争が始まった。今回、木原側は文春に対して「名誉毀損で提訴した」と明言した。

「前夫怪死事件」の真相と木原の捜査終了圧力の有無が、法廷で明らかになるか。 (文中敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)

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